ヒトパピローマウイルスワクチン「シルガード9」 肛門がん予防の適応追加と男性への接種対象拡大で承認取得 MSD

 MSDは25日、ヒトパピローマウイルス(HPV)の9つの型に対応した「シルガード9」について、肛門がんの予防の適応追加と男性への接種対象拡大についての承認を取得したと発表した。
 適応追加は、ヒトパピローマウイルス6、11、16、18、31、33、45、52及び58型の感染に起因する肛門癌(扁平上皮癌)及びその前駆病変(肛門上皮内腫瘍(AIN)1、2 及び3)並びに男性での尖圭コンジローマの予防。
 接種対象拡大は、9歳以上の男性への接種(9歳以上に3回接種、9歳以上15歳未満は2回接種が可能)。これまで、日本において男性に接種可能なHPVワクチンは、4価HPVワクチン「ガーダシル水性懸濁筋注シリンジ」のみであったが、今回の承認により、さらに5つのHPV型を加えた9価HPVワクチン「シルガード9」が男性にも接種可能となった。
 「シルガード9」に含まれるHPV型は、HPV陽性の肛門がん(扁平上皮がん)では95.9%(海外データ)、尖圭コンジローマでは95%(国内データ)からいずれかの型が検出されている。
 今回の承認により、日本における男女の肛門がん、尖圭コンジローマの予防がさらに進むことが期待できる。
 HPVは、ごくありふれたウイルスで、子宮頸がんだけでなく、男性がかかるがんや疾患の原因にもなる。HPVは主に性交渉により感染し、海外では性交渉の経験のある男性では91.3%、女性では84.6%が一生に一度は感染するといわれている。HPVに感染すること自体はめずらしくなく、男女ともに誰でも感染する可能性がある。
 HPVに持続感染すると、男女の肛門がんや女性の子宮頸がんなどに進行する場合がある。また、HPVの感染は、性器周辺にイボができる尖圭コンジローマを男女ともに引き起こす可能性もある。肛門がんや尖圭コンジローマでは推奨されている定期的な検診はなく、HPVワクチン接種が有効な予防方法の一つである。

◆白沢博満MSD代表取締役会長執行役員グローバル研究開発本部長のコメント
 HPVワクチンは、現在日本では主に子宮頸がん予防のために女性に接種されているが、HPVは男女ともに深刻ながんや疾患を引き起こす。また、主に性交渉で男性にも女性にも感染が広がっていくため、男女問わずワクチン接種で予防することが重要である。
 今回、9つの型に対応した9価ワクチン「シルガード®9」が男性にも接種できるようになり、他の先進国と同様に性別を問わない接種環境が整ってきたことを大変嬉しく思う。日本の人々をHPV関連がんおよび疾患から守るために、日本においても男性接種が早急に定期接種化されることを期待している。

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