ステージⅡの1型糖尿病治療薬「teplizumab」 日本で最初の臨床試験開始 サノフィ

 サノフィは21日、ステージⅡの1型糖尿病の治療薬「teplizumab」(一般名)について、日本で最初の臨床試験「KIBOU-T1D」を開始し、最初の被験者の組み入れを完了したと発表した。
 1型糖尿病は、生活習慣病の一種である2型糖尿病とは全く異なる性質の糖尿病で、遺伝的素因を有する人に何らかの環境因子が働いてインスリンを産生する膵β細胞に対する自己免疫が惹起され、膵β細胞の破壊が進行してインスリン分泌量が減少し、あるレベル以下になったときに糖尿病が顕性化する。
 最近の研究によって、1型糖尿病は段階的に進行することがわかっている。様々な膵島関連自己抗体や血糖値の変化を測定して、「ステージⅠ」 「ステージⅡ」 「ステージⅢ」 に分類される。「ステージⅡ」 では、膵β細胞が破壊され、体内で必要な十分なインスリンが産生されなくなり、ブドウ糖を正常に代謝できなくなる。ほぼすべてのケースで「ステージⅡ」 は、一定の期間を経て「ステージⅢ」 に進行する。ステージⅢになると、疾患は臨床的1型糖尿病となり、高くなった血糖値をコントロールするためにインスリン療法が必要となる。
 Teplizumabは、免疫細胞の一種であるT細胞の表面に発現するCD3に結合する抗体医薬品。CD3に結合することで自己反応性T細胞の活性を抑制し、膵β細胞の破壊を遅らせることで、ステージⅢの1型糖尿病の発症を遅延させる可能性がある。Teplizumabは、米国では、ステージⅡの1型糖尿病を有する8歳以上の人に対してステージⅢの1型糖尿病の発症遅延の適応で承認されている。
 KIBOU-T1D(jRCT 番号: jRCT2031240637)は、ランダム化P2相非盲検比較試験である。ステージⅡの1型糖尿病の日本人小児および成人(8~34歳)を組み入れ、teplizumabの14日間投与について、ステージⅢの発症遅延や膵β細胞保護作用に関する有効性および安全性を評価するもの。

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