ロート製薬は19日、三重大学との共同研究により三重県の未利用資源であるレモングラス葉に筋肉に対する抗老化作用があることを明らかにしたと発表した。
三重県農林水産部フードイノベーション課からの紹介を受け、未利用資源であるレモングラス葉の機能性を検証したもの。筋肉量が減少し、筋力と身体能力が低下した状態であるサルコペニアの増加が社会問題になる中、レモングラス葉抽出物に抗老化作用があることを、老化誘導筋芽細胞、老化ゼブラフィッシュモデルで確認した。
研究成果は、地域資源を活用した健康な体づくりを支える筋力低下や加齢関連疾患の予防支援につながる製品やサービスの開発に活用していく。
ロート製薬は、「ロートグループ総合経営ビジョン2030 」において、持続可能なウェルビーイング社会の実現を目指し、地域資源の活用を推進している。その一環として、三重県内での廃棄天然物資源の有用性を研究するプロジェクトを進めてきた。
今回、三重大学との共同研究(研究代表者:大学院地域イノベーション学研究科 西村訓弘教授)において、市場に流通せず廃棄されてしまう未利用資源としてのレモングラス葉に抗老化作用があることを発見した。同研究結果は、第 9 回日本老年薬学会学術大会(本年 6 月 27~29 日)で、ポスター発表された。
三重県は温暖な気候と肥沃な土壌に恵まれ、多彩な農産物が生産されている。だが、その一方で、市場に流通しない未利用資源の活用が課題となっている。これらの資源を有効活用することで、地域経済の活性化に貢献できると考えられる。同研究では、未利用天然資源の機能性評価を行い、新たな健康価値の創出を目指した。
近年、加齢による筋力の低下状態を指す「サルコペニア」は、超高齢化社会における健康寿命を延ばす上で重要な課題となっている。そこで、三重県農林水産部フードイノベーション課からの素材紹介を受けて、三重大学との共同研究の中で、細胞ならびにゼブラフィッシュを用いた筋肉の抗老化効果の評価を実施した。
ゼブラフィッシュは、医学・生理学・薬理学の分野で広く利用されるモデル生物であり、哺乳類と類似した老化プロセスを持つため、個体レベルでの老化研究や抗老化素材の探索において有用なモデル生物として知られている。
同研究では、老化誘導筋芽細胞および老化ゼブラフィッシュモデルに対して、レモングラス葉のエタノール抽出物に老化細胞に特異的に存在する老化関連β-ガラクトシダーゼ(SA-βgal)の発現を抑制することが確認された。これらの結果から、レモングラス葉には筋肉に対する抗老化作用がある可能性が示された。


今回の研究で明らかになった三重県内未利用資源(レモングラス葉)が有する抗老化については、筋力低下や加齢関連疾患の予防支援につながる製品やサービスの開発に活用し、地域社会のウェルビーイング向上に貢献していく。