
日本栄養士会は5日、大阪・関西万博 大阪ヘルスケアパビリオン リボーンステージで「アジアの全ての人々を栄養の力で健康に幸せにする―アジア各国の現代的な課題の解決と未来における栄養・食のあり方を協議―」をテーマにアジア栄養士フォーラム2025(ADF2025)を開催した。
フォーラムでは、アジア栄養士連盟(AFDA)の加盟団体会長・代表者、および国際栄養士連盟(ICDA)会長とともに、「アジアの全ての人々を栄養の力で健康に幸せにする」をテーマにディスカッションを展開。翌6日には、その成果を「大阪栄養宣言 2025」として採択し、世界に向けて発信した。大阪栄養宣言 2025の概要は、次の通り。
1、栄養は、健康のみならず医療、福祉、教育、労働、ジェンダー、経済、環境等、SDGs達成の基盤である。
2、全ての人々を健康で、幸せにするためには、あらゆる形態の栄養不良の根絶が必要である。
3、栄養不良の根絶には、食料安全保障と栄養政策の両方が不可欠である。
4、栄養学の実践的研究、戦略的な栄養政策の推進、さらに栄養分野の人材養成が求められる。
5、国際基準に準拠した栄養士の養成、教育さらに制度の構築が必要である。
6、上記の目的を達成するためには、国際的な連携が不可欠であり、特に国際栄養士連盟との協力関係の強化が重要である。
アジアの栄養・食の課題と背景
◆世界から求められるジャパン・ニュートリション
・日本の栄養学には100年の歴史がある。
・第二次世界大戦中の食糧不足への対策として、栄養の改善が重要な国策とされ、『栄養士法』および『栄養改善法』が制定され、国家資格として栄養士の養成が行われた。
・現在、日本には2年制課程を修了した栄養士が100万人以上、4年制課程を修了し、国家資格を持つ管理栄養士が29万人以上存在し、管理栄養士および栄養士は、すべての社会分野に配置され、誰もが健康的な食事と栄養にアクセスできる体制の確立に取り組んでいる。
・近代化によって栄養が改善される以前は、食生活は質素で栄養が不足しており、その結果として日本人は小柄で、現在に比べて寿命は短いものであった。だが、近い将来、日本の平均寿命は107歳になると予想されており、医学の進歩とともに栄養の改善による影響は大きいと考えられる。第二次世界大戦による飢餓の中で栄養士制度を創設し、全国の栄養士たちが伝統的な食文化と栄養学を融合させた日本独特の栄養改善を展開。これをジャパン・ニュートリションと言う。
◆ アジア各国が直面する「栄養の二重負荷」という課題
・アジア各国が直面している「栄養の二重負荷」 は下記に大別される。
開発途上国:貧困による栄養不足
急速に発展している国々:農村部や貧困層における栄養不足
富裕層やこどもにおける過栄養およびメタボリックシンドローム
先進国:若年女性、高齢者、病弱者における栄養不足
中高年層における肥満および非感染性疾患(NCDs)
◆アジア各国が目指す未来の栄養・食のあり方
・「アジアの全ての人々を栄養の力で健康に幸せにする」を根幹とし、アジアのすべての国と地域で栄養士と栄養学者があらゆる場所に配置され、健康的な食事と栄養がどこでも手に入る社会の構築を目指す。

「アジア栄養士フォーラム 2025」