リリーは31日、「ケサンラ」について、欧州医薬品庁(EMA)の医薬品委員会(CHMP)が、早期アルツハイマー病治療薬として肯定的な見解を示したと発表した。今後、CHNPは、数ヵ月以内に、ドナネマブの承認に関する決定を下す見込みだ。
欧州におけるアルツハイマー病の当事者数は現在690万人を数え、社会の高齢化に伴い2050年までにほぼ倍増すると予測されている。アルツハイマー病による軽度認知障害または軽度認知症の当事者の約3分の1は、1年以内に次の臨床段階に進行する。
今回のCHMPによる肯定的な見解は、主にTRAILBLAZER-ALZ2試験とTRAILBLAZER-ALZ 6試験に基づくもの。TRAILBLAZER-ALZ2試験は、ドナネマブが認知機能と日常生活機能の低下を有意に遅らせ、次の臨床段階への進行リスクを低減することを立証した試験だ。TRAILBLAZER-ALZ 6試験では、新たな用量漸増の投与スケジュールが検討された。 TRAILBLAZER-ALZ6試験で新たに検討した用量漸増の投与スケジュールを用いることにより、TRAILBLAZER-ALZ2試験で用いた投与スケジュールに比べ、24週および52週時点でのアミロイド関連画像異常-浮腫/滲出液貯留(ARIA-E)の発現割合が有意に低下し、同程度のアミロイドプラークの除去とP-tau217の減少がもたらされることが明らかにされた。
◆パトリック・ジョンソン リリーエグゼクティブバイスプレジデント兼インターナショナル事業部プレジデントのコメント
今回の肯定的な見解は、ドナネマブによる治療が必要な欧州の当事者へ本剤をお届けする我々の取り組みにおいて、重要な節目となる。ドナネマブは、早期アルツハイマー病の当事者にとって、意義ある変化をもたらす可能性がある。リリーは、実施中の臨床試験やプログラムを通じて、引き続き科学の進展に尽力していく。