緑内障・高眼圧症の治療点眼剤「STN1013900」 日本で製造販売承認申請 参天製薬

 参天製薬は30日、緑内障・高眼圧症の治療を目的とした「STN1013900」(一般名:ネタルスジルメシル酸塩)について、同日、日本で製造販売承認申請を行ったと発表した。
 同剤は、Rhoキナーゼ(ROCK)およびノルエピネフリン・トランスポーターを阻害することで、眼内の主要な房水排出経路である線維柱帯からの房水流出促進、房水産生の抑制、ならびに上強膜静脈圧を低下させることが確認されている。
 さらに、活性代謝物であるAR-13503にも、ROCK阻害活性が認められており、これらの薬理作用が本剤の眼圧下降作用に寄与していると考えられる。
 STN1013900の有効性については、国内で行われたP3相ラタノプロスト点眼液併用比較試験において同剤の1日1回点眼で0.005%ラタノプロスト点眼液に対する眼圧下降作用の相加効果が検証された。さらに、国内で行われたP3相リパスジル点眼液比較試験において、同剤の1日1回点眼で、0.4%リパスジル点眼液の1日2回点眼に対するリパスジルに対する優越性が検証されている。また、国内で行われたP3相長期投与試験では、同剤の長期に渡る眼圧下降作用が示された。
 緑内障は、眼圧の上昇などによって視神経が障害されて視野欠損が進行し、適切に治療されなければ失明に至る疾患で、今なお日本における眼疾患による視覚障害(視力低下や失明)の原因の第一位となっている。
 緑内障の視神経障害および視野障害は、基本的には進行性で非可逆的であるため、早期発見・早期治療が極めて重要であり、眼圧を下げることが緑内障の進行を抑制する有効な治療法である。
 緑内障の薬物療法において、FP受容体作動薬、EP2受容体作動薬又は交感神経β受容体遮断薬などによる眼圧下降治療は有効であり、目標眼圧を達成するために単剤による治療が不十分な場合は、薬剤変更または異なる作用機序の薬剤を追加する併用治療が行われている。

◆ピーター・サルスティグ参天製薬チーフ メディカル オフィサーのコメント
 緑内障治療においては、単剤だけでは十分な効果が得られないこともあり、異なる作用機序を有する薬剤への変更や併用、または配合剤の使用が必要になる場合がある。
 本剤は、臨床試験において単剤及び他剤との併用で眼圧下降作用が示されており、既存治療のアンメットニーズを満たす新たな治療選択肢として緑内障治療に貢献できると考えている。
 さらに、1日1回の投与であれば、患者さんのアドヒアランス向上にも貢献できることが期待される。参天製薬は、緑内障を重点領域と位置づけ、長年にわたり治療薬の開発と治療継続を支援するソリューションの提供に取り組んできた。本剤の開発は、これまでの取り組みを一層進化させるものである。

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