アストラゼネカは29日、医薬品の製造・研究開発に対し、2030年までに米国で500億ドルを投資すると発表した。これにより、医薬品製造・研究開発における米国のグローバルリーダーシップを強化していく。
同投資は、米国全土で高度なスキルを持つ数万人の直接的および間接的な雇用を新たに創出するとともに、成長を後押しし、米国や世界中の患者に次世代の医薬品を提供するものと期待される。
今回の投資の中心となるのは、経口GLP-1受容体作動薬、バクスドロスタット、経口PCSK9阻害剤、低分子配合剤など、同社の革新的な体重管理および代謝関連ポートフォリオの原薬を製造する米国での新たな数十億ドル規模の製造施設だ。
新たな最先端施設では、低分子化合物、ペプチド、オリゴヌクレオチドを生産する。また、数十億ドルにおよぶ当設備投資は、2024年11月に発表した35億ドルの投資に上乗せされるもの。
同原薬施設は、バージニア州に設立予定で、アストラゼネカにとって単独施設に対する最大規模の設備投資となる。同施設ではAI、自動化、データ分析を活用し、生産を最適化する。
今後5年間で行われる米国の研究開発および製造拠点全体への500億ドルの投資には、次の事項も含まれる。
・メリーランド州ゲイザースバーグの研究開発施設の拡張
・マサチューセッツ州ケンブリッジのケンダル・スクエアに最先端の研究開発センター
・メリーランド州ロックビルとカリフォルニア州ターザナに細胞療法の次世代製造施設
・インディアナ州マウントバーノンでの製造拡大を継続的に実施
・テキサス州コペルでの特殊製造の拡大
・臨床試験を実施する新拠点
・新薬における研究開発への投資の増強
これらの投資を合わせ、2030年までに総売上収益で800億ドル達成というアストラゼネカの目標の実現を後押し、そのうち50%を米国で創出することを見込んでいる。
◆Howard Lutnick米国商務長官のコメント
何十年もの間、米国民は主要な医薬品において海外からの供給に頼ってきた。トランプ大統領と我が国の新たな関税政策は、この構造的な弱点の解消に重点を置いている。我々は、アストラゼネカが大規模な医薬品生産を米国に取り入れる決断を行ったことを誇りに思う。この歴史的な投資により、数万人の雇用が米国にもたらされ、米国で販売する医薬品がまさにこの地で生産されることが確実になるだろう。
◆Glenn Youngkinバージニア州知事のコメント
アストラゼネカが米国でのこの変革的な投資の要としてバージニア州を選んでくれたことに感謝する。このプロジェクトは、医薬品製造における最新の技術的進歩の基準を定め、数百人規模もの高度なスキルを要する雇用を創出し、米国国内のサプライチェーンのさらなる強化に貢献するものとなるだろう。
先進的な製造業は、バージニア州のダイナミックな経済の中心である。世界有数の製薬企業であるアストラゼネカが、彼らにとって最大となるグローバル製造投資をここバージニア州で計画していることに感激している。
パスカル・ソリオ アストラゼネカCEOのコメント
今回の発表は、バイオ医薬品における米国のイノベーションへの当社の信念と、米国や全世界で当社の医薬品を必要とする何百万人もの患者さんに対する当社のコミットメントを実証するものである。
また、2030年までに売上収益で800億ドルを達成するという当社の目標を支えるものでもある。Youngkin知事や彼のチームと連携し、当社として過去最大となる単独での製造投資に取り組むことを楽しみにしている。これは高度な技術を要するサイエンスとテクノロジーの分野における雇用を創出するというバージニア州の願いを反映するものであり、米国国内の医薬品サプライチェーンを強化するだろう。