
ロート製薬は22日、大阪関西国際芸術祭実行委員会が主催する「Study:サイエンス・アートアワード」において、64の応募作品の中から、ファイナリスト5組を選出し、7月20日の最終審査においてグランプリ・EU 賞・ロート賞を決定したと発表した。
同アワードは、アートとサイエンスの融合による新しい芸術表現の可能性を追求し、最新テクノロジーを活用した次世代アーティストの発掘・支援を目的としたもの。
ロート製薬は、「人を、社会を、明日の世界を元気にする」をパーパスとし、世界中の人々のより良いウェルビーイングな人生の実現に向けて、社会課題に向き合い、長期視点で様々な活動に取り組んでいる。
革新的な科学技術は、製品やサービスの開発に留まらず、次世代に向けた新しい価値創造や文化創出に寄与するとの考えを示している。2025年、大阪・関西万博と同芸術祭が同時期に開催することの相乗効果も期待し、大阪・関西の街に、アート・クリエイティブの日常が溢れ、都市の魅力として定着し成長戦略として継承・発展する文化芸術イベントの創造という主旨に共感し、参画に至った。各賞受賞者と受賞コメントは次の通り。

◆「Study:サイエンス・アートアワード」グランプリ・EU 賞 W 受賞:角田優氏
[コメント]
僕のこの作品は、「熱」という目に見えない現象を可視化したもので、実は 200 年前までは熱が“エネルギー”ではなく“物質”と考えられていた歴史がある。彫刻出身で“もの”を扱ってきた自分にとって、熱を物質のように扱えるのではという発想から制作が始まった。
これまでにも、放射線やカオスといった見えない物理現象をシミュレーションで可視化する作品を制作してきたが、すべて目に見えないものを“見えるようにする”ための実験・装置作りが中心で、制作は4畳半のアトリエでの非常に地道な作業である。
だが、現象がふと“見えた”ときの感動や報われた気持ちが制作の原動力になっている。私は色弱であるが、「見えている世界が共有できなかったけれど、作品を通じてそれができる」と感じたことも大きな意味を持った。
今後も、目に見えない物理現象を可視化する作品を制作していきたいと考えており、この賞を励みにさらに精進していきたい。

◆ロート製薬特別賞 受賞:森 公一氏 + 真下 武久氏
[コメント]
このたびは感謝したい。我々は、真下武久君と2人で、この20年ほど、こうした分野で作品を作ってきた。最近は「呼吸」というテーマに取り組んでいる。誰もが当たり前にしている呼吸だが、1 分、2 分止まれば命に関わる――それほど大切な「呼吸」を使った作品を制作している。
一方で、今回の作品では、医療の現場でも活用できるのではないかと考えている。特に最近は、パーキンソン病の患者さんが呼吸をコントロールすることで、自分自身のリハビリテーションに役立てる、という視点でも注目している。