

臨床検査技師及び衛生検査技師の職能団体である日本臨床衛生検査技師会では、月刊誌「Wedge」7月号に横地常広同会代表理事会長の解説記事を掲載した。
毎年の健診結果に一喜一憂。基準範囲内であればひと安心。身に覚えのあるヒトも多いはず。だが、「基準範囲内であれば大丈夫なのか」と日本臨床衛生検査技師会代表理事会長の横地常広氏は言う。健診の目的と結果の活用法について、横地氏に聞いた(「Wedge」7月号(6/20発売)より)。
ー健診の本来の目的とは ※要約
横地 健診は、本来病気の早期発見、早期治療のために行っている。ところが、結果が出てもその後の再検査や受診に結びついていないのが現状だ。検査の結果は「健康管理のナビゲーター」である。検査データをしっかり活用して健康管理に役立てていただきたいと思うが、活用法を知らない方が多いようだ
ー血液検査が必ずあるのはなぜなのか? ※要約
横地 血液は体全体を循環しており、心臓から動脈を通じて全身の細胞に酸素と栄養を届けている。また、細胞で不要になった代謝物(老廃物)や二酸化炭素を受け取り、静脈を通って心臓まで戻ってくる。全身の細胞(臓器)のどこかで異常が生じると血液に含まれる成分にも異常が生じる。血液検査では一般的な項目だけでも数百以上の成分が測定される基本となる検査である。
ー検査結果の見方で大切なことは? ※要約
横地 検査結果で最も重要なのは、継続的(時系列)な変動を確認・管理することである。検査結果表には「基準範囲」が記載されている。この「基準範囲」は、健常者のボランティアの測定結果を統計学的な解析をして中央95%の区間の幅を示しているため、健康と考えられる測定値には大きな幅がある。基準範囲内であっても、過去の検査結果と比較して低い数値が高くなったなどは注意を必要とする。継続的に管理することが重要である。


ー検査結果の見方が変わると、健康管理の意識の変化へつながる ※要約
横地 高齢化などによる社会保障費の増加が大きな問題になっている。今後も高齢化社会の加速により医療費の増大が見込まれる。限られた財源を有効活用するためには、一人ひとりが長寿社会を見据えて検査データに目を向け、継続的な健康管理に関心を持つべきではないか。
記事全文のURLはhttps://www.jamt.or.jp/news/asset/pdf/64717c5be4c99d015a3deabd1b180139d0cb2473.pdf

「Wedge」8月号(7/20発売)では、「なぜ何本も採血するのか」「なぜ多くの成分が混在する血液から、目的の成分が測れるのか」「なぜ健診前などに食事制限があるのか」など、引き続き、健診や検査に関する疑問について解説する。