アクチビンシグナル伝達阻害剤「エアウィン」 肺動脈性肺高血圧症治療薬として承認取得 MSD

 MSDは24日、アクチビンシグナル伝達阻害剤「エアウィン」(遺伝子組換え)について、肺動脈性肺高血圧症(PAH)治療薬として製造販売承認を取得したと発表した。エアウィンは、PAHの肺血管リモデリングを標的とした新規作用メカニズムを持つ治療薬。
 肺高血圧症は、心臓から肺に血液を送る血管である肺動脈の血液の流れが悪くなることで、肺動脈の血圧が高くなる疾患である。
 肺動脈の血圧が高くなると、心臓の右心室にも負担がかかり、やがて右心不全が進む。肺高血圧症を治療せずに放置すると、数年以内に命を落としてしまう場合もある。
 PAHは、肺高血圧症の一種で、肺の細い血管が狭くなることにより発症する。厚労省の指定難病(難治性呼吸器疾患)であり、認定を受けた患者は4682名(2023年度)と年々増加している。
 近年、PAHは治療薬の開発が進み、既存薬の併用療法によって治療成績は改善しているが、PAHの予後にはいまだに課題が残っており、さらなる治療選択肢が求められている。
 エアウィンは、アクチビンシグナル伝達阻害剤として初めて承認されたPAHの治療薬だ。PAHの本態である肺血管リモデリングを標的とするエアウィンは、主にアクチビンAと結合し細胞増殖を促進するアクチビンシグナル伝達を阻害することで、シグナル伝達のバランスを改善し、肺血管平滑筋細胞の増殖を抑制し血行動態を改善する。
 非臨床モデルでは、これらの細胞に対する作用により、血管壁厚の減少、右室のリモデリングの減少、並びに血行動態の改善が認められた。2024年3月に米国FDAからPAHの成人患者に対する治療薬として、同年8月には欧州委員会(EC)からPAHの成人患者(WHO機能分類クラスIIおよびIII)に対する治療薬として、それぞれ承認を取得した。

◆白沢博満MSD代表取締役上級副社長執行役員グローバル研究開発本部長のコメント
 PAHは依然として予後が不良な進行性の疾患である。エアウィンというPAHの本態を標的とする新規作用メカニズムの革新的な治療選択肢の提供を通じて、日本のPAH患者さんに貢献できることを大変嬉しく思う。

タイトルとURLをコピーしました