優先的ホスホジエステラーゼ4B阻害剤「ネランドミラスト」 日本で肺線維症治療薬として製造販売承認申請 日本ベーリンガーインゲルハイム

 日本ベーリンガーインゲルハイムは12日、経口の優先的ホスホジエステラーゼ4B(PDE4B)阻害剤「ネランドミラスト」について、肺線維症の治療薬として厚労省に製造販売承認申請を行ったと発表した。
 ネランドミラストは、特発性肺線維症(IPF)および進行性線維化を伴う間質性肺疾患(PF-ILD)/進行性肺線維症(PPF)の治療薬候補として開発が進められてきた。
 2025年5月30日付で厚労省より希少疾病用医薬品の指定を受けた。同申請は、ネランドミラストの特発性肺線維症(IPF)および進行性線維化を伴う間質性肺疾患(PF-ILD)/進行性肺線維症(PPF)患者を対象に行ったP3相FIBRONEER-IPF試験およびFIBRONEER-ILD試験の結果に基づくもの。
 いずれの試験もネランドミラストの有効性および安全性を実薬対照(プラセボ)と比較する無作為割り付け、他施設共同、国際共同試験である。両試験には200名を超える日本人患者が参加している。
 これら2つのP3試験(FIBRONEER-IPF試験およびFIBRONEER-ILD 試験)において、主要評価項目を達成し、プラセボに対して、52週時の努力肺活量(FVC)のベースラインからの絶対変化量(mL)の低下を有意に抑制した。
 ネランドミラストの安全性および忍容性プロファイルは、両試験ともに同程度であり、FIBRONEER-IPF試験において、有害事象によって治験薬の投与中止につながった割合は、プラセボ群10.7%に対し、ネランドミラスト9mg群で11.7%、ネランドミラスト18mg群で14.0%、FIBRONEER-ILD試験においては、プラセボ群10.2%に対し、ネランドミラスト 9 mg 群で8.1%、ネランドミラスト18mg群で10.0%であった。
 これらの試験結果は、既に2025年5月のNew England Journal of Medicineで発表されている。

◆荻村正孝日本ベーリンガーインゲルハイム代表取締役医薬事業ユニット統括社長のコメント
 今回、肺線維症の治療薬として新しい作用機序をもつ経口PDE4阻害剤であるネランドミラストの製造販売承認申請をできたことを大変嬉しく思う。
 これらの疾患は進行性の重篤な疾患であり、既存の治療薬はあるが、IPFと診断された患者さんは5年以内に2人に1人が亡くなっている状況である。
 PF-ILD/PPFも、患者さんの予後に影響を及ぼす疾患であり、疾患別に調べた生存期間中央値について、2.4~7.9年という報告もある。いずれの疾患においても、未だに新規の治療薬の登場に対する高いニーズが残されているといえる。

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