アストラゼネカは9日、イミフィンジと標準治療であるFLOT化学療法を併用した周術期治療について、胃がんおよび食道胃接合部(GEJ)がんを対象としたP3試験(MATTERHORN試験)において、化学療法単独と比較して、主要評価項目である無イベント生存期間(EFS)において統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示したと発表した。
FLOT化学療法は、フルオロウラシル、ロイコボリン、オキサリプラチン、ドセタキセルを投与するもの。
患者は手術前にイミフィンジと化学療法の術前補助療法を受け、イミフィンジと化学療法の術後補助療法、その後イミフィンジの単剤療法を受けた。同試験では、切除可能な早期および局所進行(ステージII、III、IVA)の胃がんおよび食道胃接合部(GEJ)がん患者において、このレジメンと周術期化学療法単独を比較評価した。
これらの結果は、イリノイ州シカゴで開催された2025年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で発表され、The New England Journal of Medicine誌に掲載された。
計画された中間解析では、イミフィンジをベースとする周術期レジメンで治療された患者は、化学療法単独群に対して、病勢進行、再発、または死亡のリスクを29%低下させた(EFSハザード比[HR]0.71;95%信頼区間[CI]0.58-0.86; p<0.001)。EFS中央値の推定値は、対照群の32.8カ月に対し、イミフィンジをベースとする周術期レジメン群では未到達であった。
また、1年経過時点で無イベントだったのは、対照群では推定74.0%だったのに対し、イミフィンジをベースとする周術期レジメンで治療された患者では推定78.2%、24カ月時点のEFS推定値はそれぞれ58.5%、67.4%で、イミフィンジをベースとしたレジメンの方が経時的にベネフィットがより大きいことが示された。
副次評価項目である全生存期間(OS)については、イミフィンジをベースとする周術期レジメンで良好な強い傾向が観察された(HR=0.78; 95% CI 0.62-0.97; p=0.025)。OSは最終解析で正式に評価される予定であり、同試験はOSの追跡を継続する。
◆MATTERHORN試験治験責任医師のYelena Janjigian氏(Sloan Kettering記念がんセンター消化器腫瘍内科主任医師)のコメント
根治を目指した手術と化学療法を受けても、胃がんおよび食道胃接合部がん患者さんはしばしば再発を経験する。MATTERHORN試験の結果によると、デュルバルマブをベースとする周術期レジメンで治療を受けた患者さんの3分の2以上が、2年後も再発を経験していないか、病勢進行していなかった。これらの結果に基づき、この新しい治療法は本適応症における新たな標準治療となることが期待される。
◆Cristian Massacesiアストラゼネカチーフ・メディカルオフィサー兼オンコロジー・チーフ・ディベロップメントオフィサーのコメント
この免疫療法に基づく周術期レジメンは、病勢進行、再発、または死亡のリスクを約3分の1減少させ、生存率向上に対する強い傾向から、早期の胃がんおよび食道胃接合部がんの臨床パラダイムを変革する可能性を秘めている。
複数のがん種を対象としたイミフィンジによる周術期治療において3番目の良好な試験であるMATTERHORN試験は、このアプローチをさらに立証するものであり、治癒の可能性が最も高い疾患の早期ステージに新たな治療法を届けるという我々のコミットメントを強調するものである。