第一三共は3日、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd/DS-8201、抗HER2抗体薬物複合体[ADC])について、HER2陽性の進行性または転移性乳がん患者への一次治療を対象としたのグローバルP3試験(DESTINY-Breast09試験)の中間解析データにおいて主要評価項目の盲検下独立中央判定(BICR)による無増悪生存期間を有意に改善したと発表した。
同データは、米国臨床腫瘍学会(ASCO 2025)で公表された。 同社は、HER2陽性乳がんの一次治療に新たな選択肢を提供できるよう、同試験結果に基づき、承認申請に向けた準備を進めている。
有効性について、主要評価項目であるBICRによる無増悪生存期間の中央値は、同剤とペルツズマブの併用療法群(383名)においては40.7カ月で、26.9カ月の標準治療(タキサン、トラスツズマブ、ペルツズマブの併用療法(THP療法)群(387名)に対し、病勢進行または死亡リスクを44%低下させ、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示した。
副次評価項目について、医師判定による無増悪生存期間の中央値は、本剤とペルツズマブの併用療法群においては40.7カ月で、THP療法群では20.7カ月であった。客観的奏効率は、同剤とペルツズマブの併用療法群では85.1%(完全奏効58名、部分奏効268名)、THP療法群では78.6%(完全奏効33名、部分奏効 271名)であった。
奏効期間の中央値は、同剤とペルツズマブの併用療法群では39.2カ月、THP療法群では26.4カ月であった。
重要な副次評価項目である全生存期間については、同剤とペルツズマブの併用療法群はTHP療法群に対し初期の改善傾向が認められたものの、同中間解析時点において十分なフォローアップ期間に達していなかったため、引き続き評価が継続される。
同剤とペルツズマブの併用療法群における安全性について、新たな懸念は認められず、同剤およびペルツズマブの既知の安全性と同様の傾向であった。グレード3以上の有害事象について、同剤とペルツヅ マブの併用療法群では54.9%、THP療法群では52.4%にみられた。同剤とペルツズマブの併用療法群におけるグレード3以上の有害事象として、好中球減少症(23.9%)、低カリウム血症(10.2%)、貧血(8.4%)等が認められた。
間質性肺疾患(ILD)については、同剤とペルツズマブの併用療法群の12.1%が、ILD独立判定委員会により治験薬と関連のあるILDと判定された。
ILDの内訳は、グレード1が17名(4.5%)、グレード2が27名(7.1%)、グレード5(死亡)が2名(0.5%)であった。同剤単剤療法群とTHP療法群の比較評価については、無増悪生存期間の最終解析まで盲検状態が維持される。