パトリツマブ デルクステカン P3試験で全生存期間での優位性示せず米国の非小細胞肺がん承認申請取り下げ 第一三共

 第一三共は30日、パトリツマブ デルクステカン(HER3-DXd/U3-1402、抗HER3抗体薬物複合体[ADC])について、米国FDAに提出していたEGFR遺伝子変異を有する局所進行または転移性非小細胞肺がんに係る生物学的製剤承認申請を自主的に取り下げたと発表した。
 同承認申請の取り下げは、HERTHENA-Lung01の検証的試験であるグローバルP3試験(HERTHENA-Lung02)において副次評価項目である全生存期間で優位性が示されなかったことによるもの。
 同申請は、EGFR遺伝子変異を有する局所進行または転移性非小細胞肺がん患者への三次治療を対象としたグローバルP2試験(HERTHENA-Lung01)結果に基づき、2023年12月にFDAより受理されていた。
 HERTHENA-Lung02試験は、EGFR遺伝子変異を有する局所進行または転移性非小細胞肺がん患者への二次治療を対象としたグローバルP3試験。同試験の全生存期間の結果をもとに、これまでのFDAとの協議内容を踏まえ今回の決定を行った。
 HERTHENA-Lung02試験の副次評価項目である全生存期間について、同剤投与群はプラチナ製剤投与群に対し、統計学的に有意な改善を示さなかった。一方、主要評価項目である無増悪生存期間を達成している。
 安全性については、同剤の肺がんを対象とした他の臨床試験と同様の傾向で、新たな懸念は認められなかった。同試験のこれらの結果は、米国臨床腫瘍学会(ASCO 2025)で公表する予定である。
 なお、同決定は、医薬品製造受託機関の製造施設の査察結果に基づきFDAより2024年6月に受領した審査完了報告通知(Complete Response Letter)に関連するものではない。
 同件による、第一三共のパイプラインにおける同剤の位置付けに変化はない。同社は、同試験データを精査し、同剤の非小細胞肺がん治療における科学的知見を深めていくとともに、引き続き、肺がんを含む15 のがん種を対象とした開発を進めていく。

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