小野薬品は29日、オプジーボ皮下注製剤について、欧州委員会より複数固形がんを適応症とする承認を取得したと発表した。提携するブリストル・マイヤーズ スクイブ社(BMS)が28日に公表したもの。
組み換えヒトヒアルロニダーゼ(rHuPH20)を配合したオプジーボ皮下注は、単剤療法、または点滴静注によるオプジーボとヤーボイの併用療法後の単剤維持療法、および化学療法またはカボザンチニブの併用療法として、複数の成人固形がんを適応症として承認された。
ECの承認は、欧州連合(EU)の全27加盟国に加え、アイスランド、リヒテンシュタインおよびノルウェーの3カ国に適用される。
なお、オプジーボ皮下注とヒアルロニダーゼ-nvhy(製品名:Opdivo Qvantig)は、2024年12月27日、米国FDAにより承認されている。
ECによる承認の決定は、オプジーボ皮下注とオプジーボ点滴静注が同等の薬物動態(PK)および安全性プロファイルを示したCheckMate-67T試験結果および追加データに基づいている。
同試験において、2種類以下の全身療法による治療歴を有する免疫療法未治療の進行または転移性淡明細胞型腎細胞がん(ccRCC)患者を対象に、オプジーボ皮下注が、本試験のPKの主要評価項目であるCavgd28(初回投与後28日目までのオプジーボの平均血清中濃度)およびCminss(定常状態における最低血清中濃度)においてオプジーボ点滴静注に対する非劣性を示した。
Cavgd28の幾何平均比(GMR)は 2.10(90% 信頼区間 [CI]: 2.00-2.20)、CminssのGMRは1.77(90% CI: 1.63-1.93)であった。また、検出力を有する主な副次評価項目である奏効率(ORR)は、オプジーボ点滴静注群(n=247)が18%(95% CI: 14-24)であったのに対して、オプジーボ皮下注群(n=248)は24%(95% CI: 19-30)で、オプジーボ皮下注の有効性は、オプジーボ点滴静注と同等であることが示された。
オプジーボ皮下注の安全性プロファイルは、オプジーボ点滴静注のものと一貫していた。CheckMate-67T試験における薬物動態、有効性および安全性の結果は、2024年 米国臨床腫瘍学会(ASCO)泌尿器がんシンポジウム で発表された。追加の解析結果は、2024年ASCO年次総会および2024年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)会議で発表されるとともに、アナルズ・オブ・オンコロジー誌に掲載された。
◆Dana Walker BMSオプジーボ開発担当グローバルプログラム責任者(M.D.、M.S.C.E.)のコメント
ECによるオプジーボ皮下注の承認は、がん治療の新たな時代を切り拓くものである。10年前にがん治療に変革をもたらしたオプジーボ点滴静注と一貫した有効性および同等の安全性が示されている皮下注製剤によって3分から5分で投与を完了できる。
患者さんの経験価値を向上させる医薬品の開発に注力する私たちにとって、欧州連合におけるオプジーボ皮下注の承認は、この目標の実現へと着実に歩を進めるものである。
◆Laurence Albigesパリ・サクレー大学腫瘍内科教授(仏ギュスタフ・ルーシーがん研究所腫瘍学部門長、M.D.、Ph.D.)のコメント
オプジーボ皮下注は、欧州連合で承認された最初で唯一の皮下投与が可能なPD-1阻害薬であり、オプジーボ点滴静注と同等のベネフィットをより利便性の高い方法でもたらし得る新たな選択肢として、がん患者さんの治療を大きく変えようとしている。
今回の承認により、対象となる患者さんとその医師は、個々のニーズに合わせて治療計画をカスタマイズし、患者さんの視点と医療資源の編成の観点からオプジーボの投与効率を向上させる新たな方法を得ることができる。