早期アルツハイマー病薬「ケサンラ」の知見蓄積でNCNPとAPOE遺伝子検査の共同研究契約締結 日本イーライリリー

 日本イーライリリーは26日、国立精神・神経医療研究センター(NCNP)と早期アルツハイマー病治療薬「ケサンラ」に関するさらなる知見の蓄積を目的としたAPOE遺伝子検査の共同研究契約を締結したと発表した。
 NCNPが代表研究機関として実施する日本医療研究開発機構(AMED)の認知症研究開発事業「アルツハイマー病疾患修飾薬全国臨床レジストリの構築と解析」(AD DMTレジストリ)において、アポリポタンパク質E(APOE)遺伝子検査を実施するため、NCNPと共同研究契約を締結し、研究活動を開始したもの。
 NCNPの神経研究所は、AMEDによる認知症研究開発事業「AD DMTレジストリ」の代表研究機関である。抗アミロイドβ抗体薬等を用いた日常診療において得られた臨床情報、APOE遺伝子等の検査データを取得し、薬剤の有効性および安全性を検討している。今回の共同研究により、APOE遺伝子型とドナネマブの安全性および有効性との関係性に関する知見の蓄積が期待される。
 APOE遺伝子は、アルツハイマー病のリスク因子の一つだ。日本イーライリリーが2024年11月より販売しているケサンラのような抗アミロイドβ抗体治療において、アミロイド関連画像異常(ARIA)の発現リスクに関連することが知られている。
 日本では、APOE遺伝子検査は現時点で承認されていないため、保険診療下でAPOE遺伝子情報を収集することが認められていない。だが、今回の共同研究の開始に伴い、AD DMTレジストリにおいて、ドナネマブ治療を受ける当事者の同意のもとAPOE遺伝子情報の収集が可能となる。
 なお、本共同研究契約に基づき、日本イーライリリーはAD DMTレジストリにて実施されるAPOE遺伝子検査の費用を負担する。また、同意の得られた検査結果は、ドナネマブを使用されたすべての当事者の方を対象に実施中の特定使用成績調査(全例調査)のデータとあわせて解析、検討がされる予定である。

◆ヤンピン・ワン日本イーライリリー 取締役 シニアバイスプレジデント 研究開発・メディカルアフェアーズ統括本部のコメント
 リリーは、35年以上にわたり、認知症領域および診断薬の研究開発に努めてきた。今回、認知症学術研究開発事業で学術研究機関と共同する機会をいただき大変うれしく思う。日本イーライリリーとして、アルツハイマー病に対する理解をさらに深め、ドナネマブの適正使用のさらなる推進、そして、今後も科学の進展に貢献していく。

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