
アストラゼネカは16日、奈良市と「非感染性疾患(NCDs)の予防及び管理の普及・推進に関する連携協定を締結したと発表した。
同協定のもと、奈良市が掲げる「心もからだも健やかに暮らせるまち」の実現に向け、生活習慣病を始めとするNCDs発症予防及び早期発見・早期治療の推進による健康寿命の延伸に取り組んでいく。
奈良市の平均寿命は、全国・奈良県と同様に年々伸びており、2022年度の奈良市の平均寿命は男性83.2 年、女性89.2 年と、男女ともに全国(男性81.7年、女性87.8年)・奈良県男性82.6年、女性 88.3 年を上回っている。
一方、平均余命と平均自立期間の差(要介護2以上の日常生活に制限のある期間)は、男性1.8年、女性3.8年と、全国(男性1.6年、女性3.4年)より大きく、長寿であるものの日常生活に制限のある期間が長い傾向にあることが分かっている。この要因の一つとして、生活習慣病の発症・重症化や、健康状態不明者の増加が考えられる。
日本では、高齢化社会の進展に伴い、NCDs の患者数・死亡者数が年々増加しており、総死亡者数のうち約 85%を占めると推定されている。国民の健康増進の推進のための基本方針に基づく健康づくり運動「健康日本21(第三次)」においても、NCDsの有病患者数増加が指摘され、「その対策は国民の健康寿命の延伸を図る上で引き続き重要な課題である」とされた 。
奈良市では、2021年の死因の1位ががん、2位が心疾患であり、がん、心疾患、脳血管疾患を合わせた、いわゆる三大生活習慣病は死亡原因全体の約49.0%、全死因の半数近くを占めている。
奈良市ではこれまでも医師会や地域の団体、 医療機関などと連携し、各種検診や保健指導、啓発活動といった保健事業に取り組みを行っているが、検診の実施率や生活習慣病に関する医療機関の受診率の伸び悩みなどが課題となっている。
こうした状況を受け、アストラゼネカと奈良市は協働してステークホルダーとの連携や、データヘルスと医療DXの活用を推進することで、より多くの方々が健康づくりにアクセスしやすい環境を整備し、地域の健康課題の把握や、特定健診の実施率の向上など、健康づくりの輪を広げると共に、地域全体の健康意識向上及び健康寿命の延伸を目指していく。
◆仲川げん奈良市市長のコメント
奈良市民の健康増進と健康寿命の延伸をめざし、生活習慣病の発症や重症化の予防に関する取り組みを進めるため、本市とアストラゼネカ社で奈良市民の健康づくりの推進等に関する連携協定を締結する。
今回の協定を契機として、生活習慣病や慢性疾患といった本市が抱える健康課題への対策を進めるため、行政をはじめ保健医療に携わる関係者が連携・協働し、生活習慣病を始めとするNCDsの予防と早期発見・早期治療を推進し、健康づくりに対する市民意識の更なる高揚を目指したい。
◆堀井貴史アストラゼネカ代表取締役社長のコメント
アストラゼネカが重点としている疾患領域は、奈良市が医療課題として抱える疾患と重なっている。そのため、これまで培ってきた製薬企業としての知見やノウハウを活かして、自治体や医師会など、多様なステークホルダーとの連携強化のハブとなり、市民の皆様の健康寿命の延伸に貢献していきたいと考えている。
また、医療データ解析を活かした医療経済性評価分析等を含むエビデンスを創出し、ひいては奈良市から保健医療の変革を行っていくことを奈良市と協働で目指していきたい。