アストラゼネカは16日、イミフィンジの1年間投与とBCG導入療法および維持療法による併用療法について、高リスク筋層非浸潤性膀胱がんP3試験(POTOMAC試験)で好結果を得たと発表した。
BCG導入療法および維持療法の単独治療と比較したPOTOMAC試験で、高リスク筋層非浸潤性膀胱がん(NMIBC)の無病生存期間(DFS)において、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示したもの。
同試験では、全生存期間(OS)を正式に検証するための統計学的な検出力はなかったが、記述的分析において悪影響は示されなかった。
イミフィンジとBCG導入療法および維持療法の併用療法における安全性および忍容性は、それぞれの薬剤の既知の安全性プロファイルと一致しており、新たな安全性上の懸念は認められなかった。イミフィンジの追加により、BCG導入療法および維持療法の完了が妨げられることはなかった。
イミフィンジとBCG導入療法のみの併用療法を行ったもう一つの試験治療群とBCG導入療法および維持療法の単独治療との比較においては、DFSのエンドポイントを達成しなかった。
膀胱がん患者の70%以上がNMIBCと診断される。これは、早期のがんであり、腫瘍が膀胱内の表面を覆う組織に存在するものの、筋層には浸潤していない状態を言う。NMIBC患者の約半数は、腫瘍のグレード、ステージ、特定の腫瘍の特徴などといったその患者のがんの性質により、病勢進行または再発について高リスクと分類される。
◆POTOMAC試験治験責任医師のMaria De Santis氏(ドイツ・シャリテ・ベルリン医科大学泌尿器腫瘍学部門長、医学博士)のコメント
これらの興味深いデータは、現在の標準治療にデュルバルマブによる治療を1年間追加することで、患者さんの、高リスクの再発や進行を伴わない生存期間(無病生存期間)を有意に延長することを示している。
筋層非浸潤性膀胱がんの患者さんのほとんどは根治目的の治療を受けるが、それらの患者さんの80%は再発を経験し、そのうちほぼ半数の患者さんは膀胱全摘除術という生活が変わるような手術が必要になる可能性があるため、治療の改善が喫緊に求められていることが浮き彫りとなっている。
◆Cristian Massacesiアストラゼネカのチーフ・メディカルオフィサー兼オンコロジー・チーフ・ディベロップメントオフィサーのコメント
POTOMAC試験におけるイミフィンジの良好な結果は大きな進歩であり、この重要ながん免疫療法の恩恵をより多くの早期膀胱がんの患者さんに提供できる可能性を示している。今回の結果は、長期的なベネフィットが最も期待できる早期ステージの患者さんに革新的な治療法を届けるという当社の戦略を実証するものだ。