アストラゼネカは13日、BTK阻害剤「カルケンス」とベンダムスチンおよびリツキシマブとの併用療法について、欧州連合(EU)においてマントル細胞リンパ腫(MCL)の一次治療治療薬として承認を取得したと発表した。
適応症は、自家造血幹細胞移植が不適応の前治療歴のないMCLの成人患者。同承認は、再発または難治性MCL成人患者さんの治療に対するカルケンス単剤療法のEUにおける最近の承認に続くもの。
欧州委員会による同承認は、欧州医薬品評価委員会の肯定的な見解に続くもので、2024年欧州血液学会で発表され、The Journal of Clinical Oncology誌に掲載されたP3相ECHO試験結果に基づいている。
ECHO試験の結果に基づき、カルケンスとベンダムスチンおよびリツキシマブの併用療法は、米国および他の数カ国でこの適応症で承認されている。現在、日本および他の数カ国でこの適応症に関する申請が審査中である。
ECHO試験では、カルケンスとベンダムスチンおよびリツキシマブとの併用療法群が、標準治療である免疫化学療法群と比較して、病勢進行または死亡のリスクを27%低減したことを示した(ハザード比[HR]0.73;95%信頼区間[CI]0.57~0.94;p=0.016)。
無増悪生存期間(PFS)の中央値は、免疫化学療法単独群では49.6カ月であったのに対し、カルケンス併用療法群では66.4カ月であった。
MCLは稀で、一般的に悪性度の高い非ホジキンリンパ腫の一種であり、進行期で診断されることが多い疾患である。2024年には、英国、フランス、ドイツ、スペイン、イタリアで推定6000人の患者がMCLと診断されている。
カルケンスの安全性と忍容性は既知の安全性プロファイルと一貫しており、新たな安全性シグナルは確認されなかった。
◆ECHO試験治験責任医師のMartin Dreyling氏(ミュンヘン大学病院医学部、医学博士)のコメント
本承認は、EUにおけるマントル細胞リンパ腫の患者さんに新たな一次治療の選択肢を提供するものである。マントル細胞リンパ腫は、現在も長期予後が不良な悪性度の高いリンパ腫だ。
アカラブルチニブとの併用療法は、これらの患者さんにおける無増悪生存期間を16カ月以上延長し、この治療困難な疾患において待望の進歩をもたらした。
◆Dave Fredricksonアストラゼネカオンコロジー・ヘマトロジービジネスユニットのエグゼクティブ・バイスプレジデントのコメント
マントル細胞リンパ腫の一次治療で、カルケンスとの併用療法は、ピボタル試験であるECHO試験において、無増悪生存期間の有意な延長と一貫した安全性プロファイルを示した。
EUにおいてこの適応症で承認された初めてかつ唯一のBTK阻害剤として、この困難な疾患を抱える患者さんにとって待望の新たな治療選択肢を提供できることを誇りに思う。