自己採血キット活用がん分散型治験実現に向けてメディフォード、ジャパン・メディカと連携開始 アストラゼネカ

 アストラゼネカは12日、アストラゼネカの局所進行頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)を対象とした治験で自己採血キットを活用した分散型治験(DCT)の実現に向けてメディフォードおよびジャパン・メディカと連携を開始したと発表した。
 アストラゼネカが実施している HNSCCの治験では、安全性評価のため頻回な採血、およびそれに伴う来院が必要で、自己採血キットの導入により、採血のために患者が頻回に来院する負担を軽減することが可能となる。
 がんを対象とした治験の安全性評価での自己採血を実現するスキームの導入は、先駆的な取り組みだ。 同取り組みにより、来院に依存しない DCTで実施可能な検査方法が増え、日本におけるDCTのさらなる普及への貢献が期待される。
 同連携では、メディフォードがジャパン・メディカル・リーフの開発した微量採血管キャピラリーカップを使用する自己採血キットを治験実施医療機関へ提供する。治験に参加する患者は、治験実施医療機関から提供されたキットを使用して自宅などで採血を行う。
 採取された患者の血液は、メディフォードが治験に求められる品質基準を満たした体制で回収・測定し、治験実施医療機関へ検査結果の提供を行う。
 これにより、患者の来院に伴う負担を軽減するだけでなく、医療機関による通常の採血より少量の血液で検査を完了できるため、患者の総採血量を大幅に減らすことが可能だ。
 その結果、患者の負担を軽減すると同時に、血液用容器に使用されるプラスチック量の削減や、血液入り容器の焼却に伴うCO2排出量の削減も期待できる。

◆大津智子アストラゼネカ取締役 研究開発本部⻑のコメント
 メディフォードとジャパン・メディカル・リーフとの先駆的な連携は全世界に先駆けて日本で行うアストラゼネカの治験で初の試みで、全世界でも待ち望まれている手法である。 HNSCC の治験において、患者さんが自己採血を自宅で行えるようになることで、患者さんの負担の大幅な軽減が期待される。
 アストラゼネカは、諸外国と変わらないタイミングで日本の患者さんに新薬をお届けしている。だが、革新的な医薬品の迅速な提供を継続していくには、日本の患者さんが治験に参加しやすい環境づくりと日本が国際共同治験へ参加しやすい基盤づくりが必要である。
 この取り組みにより、治験実施医療機関への来院に依存しないDCT手法を日本発で世界に展開していくことを期待している。

◆清水啓メディフォード代表取締役社⻑のコメント
 メディフォードは、信頼性の高い試験データで新薬の研究開発に貢献していく。デジタル技術の発展により、治験で必要とされる様々な手段が在宅で行える環境が整いつつある中、採血においては来院が必要であり、患者さんにご負担が掛かる。
  アストラゼネカとジャパン・メディカル・リーフとの連携で、我々は患者さんがご自宅で採取した血液を回収し、新薬開発に求められる高品質なラボサービスを提供する。
 心身の健康や安心、人生の充実を叶える方法を自ら選びとれる世界をつくり、「生きていく」を明るく、前向きにしたい。それが我々メディフォードの想いである。

◆有岡和彦ジャパン・メディカル・リーフ代表取締役社⻑のコメント
 ジャパン・メディカル・リーフは、新開発した微量採血管キャピラリーカップが、アストラゼネカの新薬の研究開発においてメディフォードとの連携で、ご自宅で自己採血した血液の回収、高い精度の分析により治験に貢献できることに期待している。
 さらに血液、採血容器などの医療廃棄物の量を削減することで環境汚染から地球を守ることができると考えている。

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