腸内細菌同士の協力関係を利用した新たな腸内細菌叢改善方法解明　明治

　明治ホールディングスと明治は、グルコン酸を構成要素とするマルトビオン酸が、健康維持に重要な役割を果たすフェカリバクテリウム属細菌を腸内で効率的に増やすことを明らかにし、そのメカニズムを解明した。
　マルトビオン酸が、健康維持に重要な役割を果たすフェカリバクテリウム属細菌を腸内で効率的に増やすことを明らかにし、そのメカニズムを解明したもの。
　マルトビオン酸は、グルコースにグルコン酸が結合した構造を持つ難消化性のオリゴ糖で、はちみつに含まれる食経験豊富な成分である。
　フェカリバクテリウム属細菌は、健康維持に重要な働きをする細菌の一つ。抗炎症作用を持つ酪酸を産生することで知られており、その減少はさまざまな疾患との関連が報告されている。
　腸内細菌は、我々の腸に生息している微生物でその数はヒトの細胞数に匹敵するといわれている。食物の消化、免疫機能の調節、病原菌の増殖抑制など、健康維持に重要な役割を果たしている。
　同研究成果は、腸内細菌同士の協力関係を利用した新たな腸内細菌叢の改善方法を示唆するもので、2月12日に微生物生態学のトップジャーナルである国際学術誌The ISME Journalのオンライン版で公開された。
　フェカリバクテリウム属細菌は、腸内で抗炎症作用を持つ酪酸の産生や腸内環境の改善など、人々の健康維持に重要な役割を果たしている。だが、この細菌は酸素に弱く、生きた菌として摂取することが難しいため、腸内で効率的に増やす方法の開発が求められていた。
　そこで、試験管内での培養実験により、マルトビオン酸やラクトビオン酸といったグルコン酸を構成要素とするオリゴ糖がフェカリバクテリウム属細菌を増やすことを発見した。
　健康な成人を対象とした試験で、2週間のマルトビオン酸の摂取により、腸内のフェカリバクテリウム属細菌が有意に増加することを確認した。
　腸内細菌の一種であるパラバクテロイデス属細菌が、マルトビオン酸を代謝してフェカリバクテリウム属細菌の増殖を促進する物質を作り出すことを明らかにした。具体的な研究成果は次の通り。

◆マルトビオン酸が、腸内細菌の中でも特に健康維持に重要なフェカリバクテリウム属細菌を増やすことを明らかにした（図１）。