インフル治療薬「ゾフルーザ」 P3試験で家庭内でのウイルス伝播リスク減少の有用性確認 塩野義製薬

 塩野義製薬は25日、「塩野義製薬」)は、抗インフルエンザウイルス薬「ゾフルーザ」について、グローバルP3試験(伝播抑制試験:CENTERSTONE試験)において、家庭内におけるインフルエンザウイルスの伝播リスクが、プラセボに対して32%減少したと発表した。なお、提携先のロシュも同内容について発表している。
 同試験は、治療に使用される抗ウイルス薬が同居家族へのウイルスの伝播抑制を示した世界初の臨床試験結果となり、家庭内でのインフルエンザウイルスの感染拡大を抑制することで、公衆衛生の改善に寄与し、インフルエンザによる医療体制に対する負担の軽減に貢献する可能性が確認された。同試験結果は、「The New England Journal of Medicine」に掲載された。
 CENTERSTONE試験は、インフルエンザと診断された患者とその同居家族または共同生活者を対象に、「ゾフルーザの1回経口投与による家庭内でのインフルエンザウイルスの伝播抑制効果」の検証を目的に実施されたもの。日本を含むグローバルで実施され、4000例を越える患者が登録された。
 主要評価項目である「インフルエンザ患者が被験薬を服用後、5日以内にインフルエンザ陽性と判定された同居家族または共同生活者の割合」について、ゾフルーザ群で9.5%、プラセボ群で13.4%で、ゾフルーザ群はプラセボ群に対して、インフルエンザ陽性判定された同居家族または共同生活者の割合を統計学的に有意に32%減少させ、主要評価項目を達成した(p=0.013)。
 この結果より、インフルエンザ患者に対するゾフルーザの1回経口投与は、体内のウイルス量を大きく減少させて、同居家族または共同生活者のインフルエンザウイルス感染リスクを有意に減少させることが示された。
 また、主要な副次評価項目である「インフルエンザ患者が被験薬を服用後、5日以内にインフルエンザ陽性と判定され、インフルエンザ症状を発症した同居家族または共同生活者の割合」について、ゾフルーザ群で5.8%、プラセボ群で7.6%であり、ゾフルーザ群はプラセボ群に対して、陽性判定されインフルエンザ症状を発症した同居家族または共同生活者の割合を25%減少させた(p=0.155)。さらに、ゾフルーザの忍容性は良好で、安全性面での新たな懸念は確認されなかった。
 同試験は、呼吸器感染症において治療に使用される抗ウイルス薬が世界で初めてウイルス伝播抑制を示した世界初の臨床試験であり、その結果は米国FDA、欧州医薬品庁(EMA)、医薬品医療機器総合機構(PMDA)を含む規制当局に提出済である。
 インフルエンザは、特にインフルエンザ関連の合併症のリスクが高い人々にとって、健康と経済の両面で大きな負担をもたらしている。毎年、世界中で約10億人が季節性インフルエンザウイルスに感染し、何百万人もの患者が入院し、最大約65万人の死者を出している。
 インフルエンザウイルス感染の約3分の1は家庭内で生じると言われている。また、多くの労働者は、自身か家庭内でインフルエンザウイルスに感染した場合、約2日欠勤するとともに、自身が症状を示していても仕事に出勤すると報告している。
 パンデミックが発生した場合、インフルエンザは医療体制に大きな影響を与える可能性がある。冬季だけでなく年間を通じて、COVID-19を含む様々なウイルス性呼吸器感染症が流行しており、インフルエンザウイルスの感染拡大を防ぐ効果的な手段を有することはこれまで以上に重要となっている。

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