小野薬品は31日、オプジーボの皮下注製剤について、欧州医薬品庁(EMA)の医薬品委員会(CHMP)が、新しい投与経路(皮下投与)、新しい製剤組成(注射液)および新しい含量(600 mg/バイアル)の新製剤承認を推奨したと発表した。提携するブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMS)が28日に公表したもの。
組み換えヒトヒアルロニダーゼ(rHuPH20)を配合したオプジーボの皮下投与は、オプジーボ単剤療法、オプジーボとヤーボイの併用療法後のオプジーボ単剤維持療法、およびオプジーボと化学療法またはカボザンチニブとの併用療法でこれまでに承認された複数の成人固形がんを適応症としる。今後、CHMPの推奨は、欧州連合(EU)で医薬品を承認する権限を持つ欧州委員会(EC)によって審査される。
CHMPの肯定的な見解は、オプジーボの皮下投与とオプジーボ点滴静注が同等の薬物動態および安全性プロファイルを示したCheckMate-67T試験結果および追加データに基づくもの。
同試験において、2種類以下の全身療法による治療歴を有する進行または転移性淡明細胞型腎細胞がん(ccRCC)患者を対象に、オプジーボの皮下注が、同試験の主要評価項目であるCavgd28(初回投与後28日目までのオプジーボの平均血清中濃度)およびCminss(定常状態における最低血清中濃度)においてオプジーボ点滴静注に対する非劣性を示した。
Cavgd28の幾何平均比(GMR)は 2.10(90% 信頼区間 [CI]: 2.00-2.20)、CminssのGMRは1.77(90% CI: 1.63-1.93)であった。また、検出力を有する主な副次評価項目である奏効率(ORR)は、オプジーボ点滴静注群(n=247)が18%(95% CI: 14-24)であったのに対して、オプジーボの皮下注群(n=248)は24%(95% CI: 19-30)であり、オプジーボ皮下注の有効性は、オプジーボ点滴静注と同等であることが示された。
オプジーボ皮下注の安全性プロファイルは、オプジーボ点滴静注のものと一貫していた。
EUでは、CHMPの見解を受けてから約2カ月以内に、ECによる最終的な決定が下される。ECの承認は、EUの全加盟国に加え、欧州経済領域(EEA)に参加するアイスランド、ノルウェーおよびリヒテンシュタインの3カ国に適用される。
2024年12月27日、オプジーボとヒアルロニダーゼ-nvhy(製品名:Opdivo Qvantig)は、米国FDAにより承認されている。
◆Dana Walker BMSオプジーボ開発担当グローバルプログラム責任者(M.D.、M.S.C.E.)のコメント
今回のCHMPの肯定的な見解は、がん免疫療法のさらなる進化と、ニボルマブ皮下投与によってがん患者さんの生活を一変しえる可能性において、重要な一歩となる。我々は、患者さんの経験と医療体制の効率性を改善する可能性のある投与方法により、がん治療を大きく変える質の高い医療を欧州でも提供できることを楽しみにしている。