フィネレノン 米国FDAが左室駆出率40%以上心不全の新適応を優先審査指定 バイエル

 バイエル社は25日、フィネレノンについて、米国FDAが左室駆出率40%以上の心不全患者に対する新適応を優先審査に指定したと発表した。 適応症は、LVEF40%以上の成人HF患者(LVEFが軽度低下したHF[HFmrEF]、LVEFの保たれたHF[HFpEF])。
 今回の承認申請は、P3試験(FINEARTS-HF試験)データに基づくもの。FDAは、重篤な疾患の治療、診断、予防の有効性・安全性が、使用可能な治療法と比較して、承認された場合に大きく改善されると考えられる医薬品の評価を優先審査に指定する。新薬承認申請におけるFDAの目標審査期間は、標準審査の10カ月に対して、優先審査指定されば承認申請から6カ月以内となる。
 同指定により、米国でのLVEF40%以上のHFに対するフィネレノンの承認申請は、処方薬ユーザーフィー法(PDUFA)による審査終了目標日および承認の可能性が、2025年第3四半期となる。
 フィネレノンは、非ステロイド型選択的ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)で、FINEARTS-HF試験において、LVEF40%以上のHF患者を対象に心血管ベネフィットを示したMR経路を標的とする初めての薬剤である。フィネレノンは、2型糖尿病を合併する成人慢性腎臓病(CKD)治療薬として、米国、欧州、日本、中国を含む世界90カ国以上で承認されており、ケレンディア(一部の国ではFirialta)の名称で既に販売されている。
 フィネレノンはMRおよびレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)の過剰活性化を標的とすることで、血行動態因子や炎症・線維化プロセスなど、LVEF40%以上のHFの主要な要因に対処する。
 FINEARTS-HF試験の結果、フィネレノンはLVEF 40%以上のHF患者を対象に、プラセボと比べ、心血管アウトカムに関して統計学的に有意な改善を示した。
 米国FDAへの適応追加承認申請は、現在進行中の臨床試験プログラムMOONRAKERの一つであるFINEARTS-HF試験のデータに基づいている。フィネレノンは、中国、EU、日本でも、LVEF 40%以上のHFに対して承認申請を行っており、現在審査中。世界の他の市場においても、審査当局にさらなる承認申請を行う予定である。

◆クリスティーン・ロス バイエル社エグゼクティブバイスプレジデントグローバル製品戦略&コマ―シャリゼーション責任者のコメント
 今回のFDAによる優先審査指定は、LVEF40%以上のHFの治療パラダイムを前進させる新たな治療の柱として、フィネレノンを位置付ける可能性を高めている。
 現在、医師が使用できる有効性が証明された治療選択肢は限られている。フィネレノンが優先審査指定されたことで、患者さんにフィネレノンをできるだけ早くお届けするための重要な一歩を踏み出すことができうれしく思う。タスクを追加

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