イミフィンジ EUで世界初の限局型小細胞肺がん免疫療法薬として承認取得 アストラゼネカ

 アストラゼネカは24日、イミフィンジ(デュルバルマブ)について、EUにおいて最初で唯一の限局型小細胞肺がんに対する免疫療法薬として承認を取得したと発表した。対象は、白金製剤を含む化学放射線療法(CRT)後に病勢進行が認められていない限局型小細胞肺がん(LS-SCLC)の成人患者に対する単剤療法。
 欧州委員会による同承認は、欧州医薬品評価委員会による肯定的な見解に従ったもので、P3相ADRIATIC試験結果に基づこもの。
 SCLCは悪性度が高いタイプの肺がんで、欧州の主要5カ国では、毎年、推定8000人がLS-SCLCの治療を受けている。LS-SCLCは、標準治療である化学療法と放射線療法に対し最初は奏効するものの、ほとんどの患者で再発し、急速に進行する。LS-SCLCの予後は特に不良で、診断後の5年生存率は15~30%に過ぎない。
 試験結果では、イミフィンジはプラセボに対して死亡リスクを27%低下させた(全生存期間[OS]ハザード比[HR]0.73;95%信頼区間[CI]0.57-0.93;p=0.0104)。
 推定OS中央値は、プラセボ群が33.4カ月であったのに対し、イミフィンジ群は55.9カ月であった。患者の3年生存率は、プラセボ群では48%であったのに対し、イミフィンジ群では57%と推定された。
 イミフィンジはまた、プラセボと比較して、病勢進行または死亡のリスクを24%低下させた(無増悪生存期間[PFS]HR 0.76;95% CI 0.61-0.95;p=0.0161)。
 PFS中央値は、プラセボ群が9.2カ月であったのに対し、イミフィンジ群では16.6カ月であった。2年経過時点で病勢進行が認められなかった患者の割合は、プラセボ群では34%であったのに対し、イミフィンジ群では46%と推定された。
 イミフィンジの安全性プロファイルはおおむね管理可能で、同剤の既知のプロファイルと一貫していた。新たな安全性シグナルは認められなかった。
 イミフィンジは、ADRIATIC試験の結果に基づき、この疾患において米国および他のいくつかの国において承認されている。
 現在、日本および他のいくつかの国において、この適応での承認申請に対する規制当局の審査が行われている。イミフィンジは、P3相CASPIAN試験に基づき、進展型SCLCの治療において化学療法との併用療法としても承認されている。 

◆ADRIATIC試験国際治験調整医師のSuresh Senan氏(オランダアムステルダム大学メディカルセンター放射線腫瘍科医、博士)のコメント
 本承認は、欧州の限局型小細胞肺がん患者さんにとって転機であり、免疫療法の選択肢が初めてもたらされた。ADRIATIC試験では、デュルバルマブで治療された患者さんの57%が3年後も生存していた。この大きな進歩は、何十年も標準治療が変化していない状況において、新たなベンチマークを確立するものである。

◆Dave Fredricksonアストラゼネカオンコロジー・ヘマトロジービジネスユニットのエグゼクティブ・バイスプレジデントのコメント
 イミフィンジは、この適応症において欧州で承認された最初の免疫療法として、限局型小細胞肺がんの治療を変革する可能性がある。早期および進行ステージの両方に承認された唯一の免疫療法として、イミフィンジは小細胞肺がん患者さんの転帰を変革する基盤となる用意ができている。

タイトルとURLをコピーしました