塩野義製薬は18日、第3世代インテグラーゼ阻害剤「S-365598」について、P2試験で良好な結果を得たと発表した。HIV感染者において、複数の用量で顕著な抗ウイルス効果と良好な安全性・忍容性を確認したもの。同社がグラクソスミスクラインおよびファイザーとともに資本参加しているヴィーブ社が公表した。
S-365598は、塩野義製薬が創製しヴィーブ社に導出した第3世代HIVインテグラーゼ阻害剤。長い半減期を有するため、低用量かつ3ヵ月以上に1回の投与で治療および予防が可能な超長時間作用型製剤としてヴィーブ社が開発を進めている。
なお、塩野義製薬はS-365598の導出に際し、ヴィーブ社とライセンス契約を締結しており、研究開発費用の一部を負担することで、上市後にヴィーブ社に導出している既存のインテグラーゼ阻害剤と同一の条件で、ロイヤリティー収入を受領する予定である。
同試験は、抗HIV治療歴のない成人22名(HIV-1 RNA≦3,000コピー/mL)を対象に実施した、無作為化、プラセボ対照二重盲検比較試験で、S-365598(10mg、50mg、300mg)を3日に1回、経口投与した際の抗ウイルス効果および安全性・忍容性を評価した。 その結果、S-365598はいずれの用量においても、顕著な抗ウイルス効果が確認された。10日間の単剤療法後、10mg、50mgおよび300mgの用量におけるHIV RNA量の減少は、平均でそれぞれ-1.17、-2.15、および-2.31 log10 c/mLとなった。さらに、試験終了時に薬剤耐性変異はみとめられず、また、安全性・忍容性は良好であった。
HIV感染者における顕著な抗ウイルス効果が確認されたことにより、S-365598は超長時間作用型の抗HIV薬として、次世代の有望な開発化合物であることが示された。現在ヴィーブ社は、HIV非感染者を対象にS-365598の注射剤での評価を行うP1試験(NCT06310551)を実施している。
これらの試験結果は、第32回CROI2025で発表された。なお、同件が2025年3月期の連結業績予想に与える影響は軽微である。