イミフィンジ含む周術期レジメン 切除可能な非小細胞肺がん治療薬としてCHMPが承認勧告 アストラゼネカ

 アストラゼネカは10日、イミフィンジ含む周術期レジメンについて、欧州連合(EU)において、切除可能な非小細胞肺がんの治療薬として、欧州医薬品評価委員会(CHMP)が承認勧告したと発表した。
 対象は、再発リスクが高く、上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異または未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)融合遺伝子が確認されていない、切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)の成人患者。
 EMAのCHMPの肯定的な見解は、The New England Journal of Medicine誌に掲載された重要なAEGEAN試験の結果に基づいている。
 計画されていた無イベント生存期間(EFS)に関する中間解析において、イミフィンジベースの周術期レジメンで治療した患者では術前化学療法単独の場合と比較して、再発、進行または死亡イベントの発現リスクが32%低下し、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある結果が認められた(イベント発現割合32%;EFSハザード比[HR]0.68;95%信頼区間[CI]0.53-0.88;p=0.003902)。
 病理学的完全奏効(pCR)の最終解析において、イミフィンジと術前化学療法との併用療法で治療した患者さんのpCR達成割合は、術前化学療法単独の場合の4.3%に対し、17.2%であった(pCR達成割合の差13.0%;95%CI 8.7-17.6)。
 さらに、2024年の世界肺がん学会で発表された全生存期間(OS)の中間結果では、イミフィンジベースの周術期レジメンに良好な傾向が示された(イベント発現割合35%;OS中央値:術前化学療法単独の場合の53.2カ月に対しイミフィンジと術前化学療法との併用療法では未到達[NR];HR=0.89;95% CI 0.70-1.14)。
 この中間解析でOSデータは統計学的有意性の評価はされておらず、最終解析で主要な副次評価項目として引き続き評価される。
 欧州では毎年、45万人以上が肺がんと診断されている。最も一般的な肺がんの型であるNSCLCの全患者のうち、約25~30%が早期に診断され、根治を目的とした手術を受けている。だが、切除可能な患者の大多数が再発し、ステージIIの患者における5年生存率はわずか36~46%である。
 さらに、ステージIIIAでは24%、ステージIIIBでは9%にまで低下することから、依然高いアンメットニーズが存在していることがうかがえる。
 イミフィンジの忍容性はおおむね良好で、術前および術後療法において新たな安全性シグナルは認められなかった。さらに、イミフィンジを術前化学療法に追加した場合、この併用療法の既知の安全性プロファイルと一致しており、化学療法単独と比較して患者の手術完遂を損なうことはなかった。
 イミフィンジの同治療法はAEGEAN試験の結果に基づき、米国およびその他数カ国において、承認されている。また、現在中国、日本およびその他の国において審査中である。
 イミフィンジは、P3相PACIFIC試験に基づき、化学放射線療法後に進行が認められていない切除不能なステージIIIのNSCLCにおける根治目的の治療薬として、OSに基づいて、世界的な標準治療となっている。 

◆AEGEAN試験のコミッティーメンバーで治験責任医師のMartin Reck氏(LungenClinic Grosshansdorf胸部腫瘍学部長)のコメント
 周術期レジメンのデュルバルマブを術前化学療法に追加することで、再発率が高く、予後が不良である切除可能な非小細胞肺がん患者さんの転帰が有意に改善された。今回の勧告は、欧州の患者さんとその臨床医が、この疾患において、根治を目的とした標準となるべき併用アプローチという革新的な治療にアクセスできるための重要な一歩となる。

◆Susan Galbraithアストラゼネカオンコロジー・ヘマトロジー研究開発エグゼクティブ・バイスプレジデントのコメント
 この勧告は、再発や病勢進行なしに生存期間延長をもたらす新しい治療選択肢を必要とする切除可能な肺がん患者さんのアンメットニーズに応えるイミフィンジの可能性を明示している。
 AEGEAN試験は、最も根治の可能性が高い肺がん早期ステージでの治療を変革する私たちのコミットメントを裏付けている。

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