ファンペップは21日、花粉症を対象疾患に開発中のアレルギーワクチン「抗体誘導ペプチド FPP004X」について、P1試験を実施すると発表した。
同社は、本年2月10日に医薬品医療機器総合機構(PMDA)へ治験計画届を提出しており、PMDA による所定の調査(30日調査)が終了次第、P1試験を開始する予定である。ちなみに、治験依頼者はPMDA に治験計画届を提出した日から起算して 30 日経過した後でなければ、治験を医療機関に依頼してはならないとされている。
花粉症は、スギやヒノキ等の植物の花粉に対する過剰なアレルギー反応を起こすアレルギー疾患だ。代表的な症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまりや目のかゆみなど。日本国内の全国疫学調査による有病率は、2019年に花粉症全体で42.5%、患者数の多いスギ花粉症で38.8%と高く、またそれぞれ10年前(2008 年)と比較して10%以上上昇している。
花粉症を含むアレルギー性鼻炎の医薬品(内服薬)市場は約 1700 億円(2019 年)である。このため、政府は、国民病とも言われ、多くの国民を悩ませ続けている花粉症を社会問題として捉え、花粉症対策に取り組んでいる。
抗体誘導ペプチド FPP004X は、体内で IgE(Immunoglobulin E)に対する抗体産生を誘導することにより治療効果を期待するアレルギーワクチンである。IgEは、体内に入った異物を排除する働きを持つ抗体の一種で、花粉等の原因物質(アレルゲン)に結合するとアレルギー反応を引き起こす。FPP004Xは、免疫細胞に抗 IgE 抗体を一定期間産生させることから、アレルギーに対する持続的な効果が期待される。
この特長を活かし、ファンペップは、花粉症を第一の適応症として、花粉飛散前に投与することでシーズンを通して症状を緩和できる患者にとって利便性の高い新しい治療選択肢を提供することを目指す。
FPP004X に関しては、昨年3月に塩野義製薬との間でオプション契約を締結。塩野義製薬は、全世界での全疾患に対する独占的研究開発・商業化権の取得に関するオプション権を保有している。
なお、同社グループは、FPP004XのP1試験費用等の開発費として、2025年12月期から2026年12月期までの間に約4億円を支払う予定であるが、2025年2月12日に公表した2024 年12 月期決算短信において開示した2025年12月期の研究開発費の予測値には織り込み済み。