2025年12月期は赤字縮小へ アンジェス

 アンジェスは14日、2024年12月期決算を発表した。同期連結業績は、売上高6億4300万円(対前年比320.7%増)、営業利益△91億0100万円、経常利益△75億3700万円、最終損益は281億2800万円の赤字となった。
 ゲノム編集事業を担う同社連結子会社のEmendo社ののれんの減損損失及び使用権資産の減損損失を特別損失として計上したことなどにより前年に比べて赤字幅が大幅に拡大した。2024年12月期の最終損益は74億3700万円の赤字。
 2025年12月期の連結業績は、売上高13億5000万円(対前年比109.7%)、営業利益△58億円、経常利益58億2000万円、最終損益は58億5000万円の赤字を見込んでいる。赤字幅は対前年比で縮小する見通しにある。
 売上面では、2024年5月27日より早老症治療薬「ゾキンヴィ」の販売を開始し、2億4400万円の売上高を計上。また、HGF遺伝子治療用製品「コラテジェン」は、条件及び期限付製造販売の承認を取得し、2019年9月から田辺三菱製薬より販売していたが、2024年6月に条件解除に向けた承認申請を一旦取り下げ販売売を終了したため、製品売上高は1100万円(対前年比1100万円減)となった。
 一方、アンジェスクリニカルリサーチラボラトリー(ACRL)においては、希少疾患の医療と研究を推進する会(CReARID)が展開する拡大新生児スクリーニングに加え、埼玉県、群馬県、沖縄県など自治体(またはその関連団体)からも拡大新生児スクリーニングの受託を開始。拡大新生児スクリーニングの受託数が前年同期に比べ順調に増加したため、手数料収入として3億1100万円(同1億9600万円増)を計上した。
 さらに、Emendo社が開発したゲノム編集のためのOMNIヌクレアーゼの非独占的使用権について、スウェーデンのAnocca社とライセンス契約を締結し、契約一時金を研究開発事業収益として7500万円計上した。
 利益面では、売上原価は前年同期に比べ2億6200万円増加し、3億9500万円(同196.5%増)となった。2024年5月より販売を開始したゾキンヴィにかかる商品売上原価は、1億6000万円となった。また、コラテジェンにかかる製品売上原価は、販売終了に伴い前年同期に比べ1100万円減少し、800万円(同58.8%減)となった。ACRLにおける拡大新生児スクリーニング検査にかかる原価は、受託数の増加に伴い前年同期に比べ1億1300万円増加し、2億2700万円(同99.5%増)となった。
 研究開発費は、37億8300万円(同38.7%減)となった。主にEmendo社において、事業再編成に伴う人員の減少により給料手当が7億3200万円、役員報酬が1億4500万円、賞与手当が5200万円、法定福利費が2億2300万円減少している。コラテジェン製造関連費用及びEmendo社における製造費用等の減少により外注費が7億2400万円減少している。ゾキンヴィの導入にかかる費用の減少により支払手数料が1億5600万円減少した。
 Emendo社について、2023年度から事業再編成を開始し、研究開発体制を変革するとともに、ゲノム編集にかかるプラットフォーム技術の社外への導出に注力する体制に改めた。その後、当連結会計年度において改めて事業計画を見直しを行い、過去における超過収益力の評価に基づいて計上されていた「のれん」を現状評価に改めるために「のれん」及び有形固定資産を減損。その結果、のれんの減損損失199億3600万円及び使用権資産の減損損失1億1100万円を特別損失として計上した。
 2025年12月期は、引き続き先行投資のステージのため研究開発費が高止まりする見通しにある一方、2024年12月連結会計年度においてのれんを減損し、のれん償却額が発生しなくなるため販売費及び一般管理費は減少するため最終損益は58億5000万円となる見込みで、赤字幅縮小を予想している。

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