第一三共ヘルスケアは、東京都内で働く女性のがん患者さんを対象とした「肌ケアセミナー」を開催し、30名近くのがんの罹患者や経験者が参加した。
女性のがん罹患者数は特に現役世代である30・40代において男性よりも多く、仕事と治療の両立が課題となっている。こうした中、がん治療によって皮膚障害が生じるなど、肌の悩みを抱える人は少なくない。同セミナーでは、がん治療中に起こりやすい皮膚症状や、肌のマッサージ方法などを実演しながら、日々の生活の中で取り入れたい肌ケアが紹介された。
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第一三共ヘルスケア広報部の上吉川奈央氏は、まず、「2人に1人ががんになる今日、特に、治療と仕事の両立が課題となる30・40代では、男性よりも女性でがん罹患者数が多い」とミドル世代におけるがん罹患の実態に言及した。
また、治療に伴う肌トラブルの影響として「がん患者さんの身体的不快感だけではなく、日常生活への不安やストレスにつながる可能性がある」と指摘。さらに、「適切な肌ケアを実践している患者の多くが、心理面でもポジティブな変化を感じていることが明らかとなったが、具体的なケア方法がわからないという課題も浮き彫りになった」同社の調査結果を公表した。
その上で、「今回のセミナーは、この課題に対応するため、適切な肌ケアの方法の啓発を目的としている」と開催主旨を説明し、「セルフケア領域でがん患者さんのQOL向上に貢献し、がん患者さんの生活に明るい光をもたらしたい」と想いを語った。
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看護師の東島愛美氏は、「抗がん剤治療中から取り入れたいスキンケア」をテーマに講演した。東島氏は、皮膚の構造や抗がん剤治療による肌への影響として「抗がん剤で基底層がダメージを受けると、肌の新陳代謝が悪化して肌が乾燥しやすくなる」と説明。スキンケアの方法として「弱酸性、アルコールフリー、泡タイプなどの低刺激な洗浄料で‟なで洗い”をして肌の清潔を保って頂きたい」と肌に対する摩擦を少なくするなど、肌刺激を与えないようにケアをし、「肌を清潔に保つ」重要性を伝えた。
また、「保湿剤で肌のバリア機能を考えたケアを日中や就寝前などこまめに続ける」重要性も説明。最後に皮膚保護の観点から「一年を通した紫外線対策によって肌のバリア機能をサポートし、しみやシワの原因を防でほしい」とバリア機能が低下しがちな敏感肌向けの紫外線対策を要望。肌ケアで重要な「保清・保湿・保護」の3つのポイントをセミナー参加者にアドバイスした。
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セミナーでは、アピアランス・サポート東京 アピアランス・サポート相談室室長の村橋紀有子氏による「肌ケア体験講座」も開かれた。
村橋氏は、「がんの治療中は抗がん剤の副作用で肌のくすみ、痒みなど『お医者さんに相談するほどでもないけど、どうすればよいのか』と悩んでいる患者さんはとても多い」と紹介した。
その上で、「日常的に肌ケアを取り入れることで肌の状態を健やかに保つことができる。こまめなケアが肌を守るキーポイントになる」と述べ、「QOL向上のキーポイントとなるがん治療中の肌ケアの重要性」を訴求。
「‟肌ケア”は外見を整えることにとどまらず、自己肯定感の向上につながる。自分自身を癒やし、心に安らぎを与える貴重な時間である」と強調し、「治療で頑張った自分をねぎらって、少しでも穏やかで心地よい時間を‟肌ケア”を通して過ごして頂きたい」と呼びかけた。
また、医学的知見に基づいた手順で静脈とリンパの流れを促し、顔や手足の浮腫を改善する“巡活マッサージ”の方法も詳しく説明した。マッサージをするときは「ベタベタするのを気にせず、乳液をたっぷり使用してほしい。肌に摩擦を起こさないように力を入れすぎず優しく流す」と手の動かし方などをレクチャーした。
セミナー終了後には参加者から「がん治療で顔が暗くなり、むくんでパンパンになっていた顔を自分の手でメンテナンスする方法を教えてもらえた」、「自分を大切にする時間をもって、鏡を見る時間が楽しくなりそうで嬉しい」、「初めて参加したが、家庭的なセミナーで皆さんも病気を克服され元気で活躍しているところを見ると勇気をもらえる」などの感想が寄せられた。