ビラフトビの併用療法 結腸・直腸がんP3試験で好結果 小野薬品

 小野薬品は4日、ファイザーのビラフトビおよびセツキシマブとmFOLFOX6の併用療法について、BRAF 遺伝子変異を有する進行・再発の結腸・直腸がん(CRC)を対象としたP3相試験(BREAKWATER試験)において、無増悪生存期間で統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示したと発表した。同社と提携する米国ファイザー社が3日公表したもの。
 ビラフトビは、小野薬品がファイザーと日本および韓国で商業化の独占的権利をライセンス契約を締結。日本において小野薬品はセツキシマブと化学療法の併用療法による「BRAF遺伝子変異を有する治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん」に対する適応追加申請を行っている。
 BREAKWATER試験は、CRCを対象に、ビラフトビとセツキシマブおよびmFOLFOX6(フルオロウラシル、ロイコボリン、オキサリプラチン)の併用療法を評価するP3相試験である。
 同試験の無増悪生存期間(PFS)解析において、ビラフトビとセツキシマブおよびmFOLFOX6の併用療法群は、ベバシズマブの併用もしくは非併用の化学療法群と比較して、2つの主要評価項目のうちの1つである盲検下独立中央判定(BICR)で評価されたPFSで統計学的有意かつ臨床的に意義ある改善を示した。さらに、ビラフトビの併用療法は、同試験の主要な副次評価項目である全生存期間 (OS) において、統計学的に有意かつ臨床的に意義ある改善を示した。
 ビラフトビ併用療法は、同試験のもう1つの主要評価項目である奏効率(ORR)で有意な改善が示されたことに基づき、2024年12月、治療歴のないBRAFV600E 遺伝子変異を有する進行・再発のCRC患者を対象に、米国FDAにより迅速承認された。
 ORRの結果は、2025年の米国臨床腫瘍学会消化器がんシンポジウム(ASCO GI)にて発表されるとともに、2025年1月号の ネイチャー・メディシン誌 に掲載された。
 ORRの解析時点で、ビラフトビとセツキシマブおよびmFOLFOX6の併用療法の安全性プロファイルは、これまでに各薬剤で報告されている安全性プロファイルと一貫していた。新たな安全性シグナルは認められなかった。詳細な解析結果は今後の学会で発表する予定である。
 ビラフトビ併用療法の承認は、進行性または再発性のがんに対する新たな治療薬の開発と承認を支援することを目的としたFDAのProject FrontRunnerのもとで実施された業界初の承認の一つだ。BRAFV600E 遺伝子変異を有する進行・再発のCRC患者を適応とした、ビラフトビとセツキシマブおよびmFOLFOX6の併用療法の正式承認を支援するものとして、ファイザーは同試験の最新のPFSの結果をFDAに提出する予定である。また、同じ適応症でビラフトビ併用療法の追加承認を将来的に申請できるように他の国の規制当局ともBREAKWATER試験のデータについて協議を行っている。

◆Roger Danseyファイザー社オンコロジー開発担当責任者(M.D.)のコメント
 我々は、今回のBREAKWATER試験から得られた臨床的に意義のある無増悪生存期間と全生存期間の結果に大変満足しており、これらの結果はこれまで治療選択肢が限られ、予後が不良であった患者集団に対して治療法の変革をもたらす可能性がある。
 ビラフトビの併用療法は、BRAFV600E 遺伝子変異を有する進行・再発のCRC患者に対するファーストライン治療としてより早期からの使用を推奨する初めての標的治療薬として承認されている。
 今後、世界中のより多くの患者さんにできるだけ早くこの治療法をお届けできるよう、各国の規制当局と本試験のデータについて協議を進めていく。

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