小野薬品は27日、オプジーボとヤーボイの併用療法について、高頻度マイクロサテライト不安定性またはミスマッチ修復機構欠損を有する治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がんを対象としたP3相CheckMate -8HW試験において好結果を得たと発表した。提携するブリストル・マイヤーズ スクイブ社(BMS)が25日に発表したもの。
CheckMate -8HW試験は、全治療ラインにおいてオプジーボとヤーボイの併用療法をオプジーボ単剤療法と比較評価した3群比較P3試験。同試験の中央値47カ月の追跡調査において、オプジーボとヤーボイの併用療法は、オプジーボ単剤療法と比較して、盲検下独立中央評価委員会(BICR)の評価による無増悪生存期間(PFS)で統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示した(ハザード比[HR]:0.62;95%信頼区間[CI]:0.48-0.81;P=0.0003)。
これらの結果は、カリフォルニア州サンフランシスコで開催される米国臨床腫瘍学会(ASCO)消化器がんシンポジウムで、25日にlate-breakingデータとして発表され、同日ランセット誌に掲載された。
オプジーボとヤーボイの併用療法を治験担当医師が選択した化学療法と比較評価したCheckMate -8HW試験の前回の結果では、オプジーボとヤーボイの併用療法によって病勢進行または死亡のリスクが79%低下したことが実証されている。
この結果は、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン誌に掲載されるとともに、2024年12月に欧州委員会が、MSI-HまたはdMMRを有するmCRC患者のファーストライン治療に対するオプジーボとヤーボイの併用療法を承認する根拠となった。
全治療ラインのMSI-HまたはdMMRを有するmCRC患者を対象とした中央値47カ月の追跡調査におけるCheckMate -8HW試験の結果は次の通り。
◇PFS(無増悪生存期間;2つの主要評価項目の1つ):オプジーボとヤーボイの併用療法は、オプジーボ単剤療法と比較して、病勢進行または死亡のリスクを38%低減した(HR:0.62;95% CI:0.48-0.81;P=0.0003)。
また、12カ月、24カ月および36カ月時点のPFS率も、オプジーボ単剤療法と比較して、オプジーボとヤーボイの併用療法で高い改善率が示された(オプジーボとヤーボイの併用療法群でそれぞれ76%、71%、68%、オプジーボ単剤療法群でそれぞれ63%、56%、51%)。
◇ORR(奏効率;副次評価項目):BICRの評価によるORRは、オプジーボ単剤療法と比較して、オプジーボとヤーボイの併用療法で有意に高い奏効率が示された(オプジーボとヤーボイの併用療法群71% vs オプジーボ単剤療法群58%;P=0.0011)。
◇安全性:オプジーボとヤーボイの併用療法の安全性プロファイルは、これまでに報告されたデータと一貫しており、確立されたプロトコールによって管理可能であった。グレード3/4の治療に関連する有害事象(TRAE)は、オプジーボとヤーボイの併用療法群で22%、オプジーボ単剤療法群で14%の患者で報告された。新たな安全性シグナルは認められなかった。
なお、同試験は、全生存期間(OS)を含む副次評価項目を評価するため進行中である。
◆Dana Walker BMSバイスプレジデント兼がん領域後期開発グローバルプログラム責任者(M.D.、M.S.C.E.)のコメント
PD-1とCTLA-4の二つを阻害することによるベネフィットは、化学療法と比較したMSI-HまたはdMMR を有するmCRCを含むさまざまながん腫を対象としたオプジーボとヤーボイの併用療法のP3試験で十分に確立されている。
CheckMate -8HW 試験における今回の結果は、オプジーボとヤーボイの2剤併用によるがん免疫療法がオプジーボ単剤療法と比較して MSI-H/dMMR mCRC 患者の転帰を改善できるかどうかという重要な問いかけに対する肯定的な答えとなっている。
◆Thierry Andre Sorbonne大学Saint-Antoine病院腫瘍内科部門長(M.D.)のコメント
今回発表されたデータは、無増悪生存期間と奏効率の両方で根拠として示されたことを勘案すると、ニボルマブとイピリムマブの併用療法が治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん患者に対する新たな標準治療となることを裏付けている。
また、重要なのは、新たな安全性シグナルは認められず、併用療法による治療関連の有害事象(ほとんどがグレード1または2)の増加は中程度であったことである。これらのデータを総合すると、改善された治療オプションを緊急に必要としているこの患者集団にとって、ニボルマブとイピリムマブの併用免疫療法が有益であると再確認できる。