第一三共は14日、Glycotope社(ドイツ)が創製したgatipotuzumab(抗TA-MUC1抗体)の知的財産権を同社から買い取ると発表した。
第一三共は、gatipotuzumabを同社のADC技術を活用してADC化した薬剤を全世界において独占的に開発・商業化する権利を取得するため、2018年にGlycotope社とのライセンス契約を締結していた。
今回、新たに締結した契約に基づき第一三共は、Glycotope社に1億3250万ドルを契約締結時に支払う一方、当該支払いにより、2018年のライセンス契約に規定された各種マイルストンおよび販売ロイヤルティの支払い義務を果たしたことになる。
抗TA-MUC1抗体は、第一三共の6番目のDXd ADCであるDS-3939の抗体部分である。TA-MUC1は、多くの上皮がんにおいて過剰発現していることから、がん治療の有望な標的であると言われているが、現在、TA-MUC1を標的として承認されているがん治療薬はない。
DS-3939は、固形がん患者(非小細胞肺がん、乳がん、尿路上皮がん、卵巣がん、胆道がん、膵管腺がん等)を対象としたグローバルP1/2相臨床試験を実施中である。
第一三共は、幅広いがん種における新たな治療の選択肢を提供するため、DS-3939の開発を加速するとともに、同社のADCパイプラインの価値最大化を図っていく。