ファセンラ 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症で国内承認取得 アストラゼネカ

 アストラゼネのファセンラ(一般名:ベンラリズマブ、遺伝子組み換え)は、昨年12月27日、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)治療薬として、日本で承認を取得した。
 適応症は、既存治療で効果不十分な好酸球性多発血管炎性肉芽腫症。
 EGPAは、まれな免疫介在性血管炎で、複数の臓器の障害を引き起こす可能性がある。厚労省による同承認は、The New England Journal of Medicine 誌で発表されたP3相MANDARA試験の結果に基づくもの。
 この試験では、再発性または難治性のEGPA患者を対象にファセンラの有効性および安全性について、承認されている唯一の EGPA 治療薬であるメポリズマブと比較した。
 MANDARA 試験は、EGPA 患者を対象として生物学的製剤を直接比較する初めての非劣性試験であった。4 週ごとに、ファセンラ30mgを単回皮下注射する群、またはメポリズマブ100mgを3回皮下注射する群のいずれかに患者を無作為に割り付けた。
 同試験では、主要評価項目である36週時と48週時の両時点で寛解を達成した患者割合において、ファセンラ投与患者の約 60%が寛解を達成し、メポリズマブに対する非劣性が認められた。
 また、データではファセンラ投与患者の41%が経口グルココルチコイド(OGCS)を漸減して完全に中止したことも示された。(メポリズマブ群 26%(群間差 16%、95% CI:1,31))
 日本における承認は、2024年9月の米国での EGPAに対するファセンラの承認および2024年10月のEUでの承認に続くものである。また、EGPAの承認と同時に、新たな選択肢としてペン型製剤が承認された。
 ファセンラは現在、米国、日本、EU、中国を含む80 カ国以上でSEAの追加維持治療として承認されている。また、米国および日本では、6歳以上の子供および青年に対しても承認されている。

◆田中良哉日本リウマチ学会理事長(産業医科大学医学部第1内科学講座教授)のコメント
 EGPAは好酸球が異常に増加して細い血管に炎症を起こし、血流障害や壊死、さらには、臓器機能障害を生じる全身性の自己免疫疾患である。好酸球による炎症を抑えるため、グルココルチコイドの長期間投与が必要となることがあるが、ANCA関連血管炎診療ガイドライン2023 では副作用軽減のため適切な時期の投与中止やできる限り少量に減量することが重要であるとされている。
 本日の承認により、寛解とグルココルチコイドの漸減の可能性を提供できる治療の選択肢が増えることを嬉しく思う。

◆大津智子アストラゼネカ取締役研究開発本部長のコメント
 米国とEU での承認に次いで、日本でもEGPAに対してファセンラが承認された。ファセンラは、世界中で多くの好酸球性重症喘息患者さんにベネフィットをもたらしており、今回の承認により、EGPAに苦しむさらに多くの患者さんの治療を向上させる一歩となると期待している。

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