大阪府薬剤師会は8日、定例記者会見を開き、乾英夫会長が年末年始のインフルエンザの大流行について、「流行のピークが重なって地域の薬局もその対応に追われた」と振り返り、「薬局・薬剤師は、休日急病診療所への執務においてもしっかりと地域医療に貢献している」と評価した。その一方で、インフルエンザ流行下において医療現場での後発品不足が改めて浮き彫りとなり「重ねての国やメーカーに対して早急の是正」を求めた。
また、今年からスタートする地域包括ケアシステムや患者のための薬局ビジョンにも言及し、「まだ、地域によって対応にバラつきがある」とした上で「掛かり付け機能を発揮して対人業務を充実させながら薬剤師DXをしっかりと実現し、全ての薬局・薬剤師が職能を発揮できるように大阪府薬もアシストしていきたい」と訴えかけた。
また、地域の中小薬局経営が困窮する中、「今年度の事業計画において、若い人への事業継承や、薬剤師の登録派遣も含めた検討を行う」考えを明らかにした。
インフルエンザが大流行する中、医薬品の供給状況について山岡信也専務理事は、「後発医薬品は、今年になっても入荷しないものがある。タミフル(インフルエンザ治療薬)は後発品は無いが、先発品はあるためそれで対応している」と語った。
また、新薬のインフルエンザ治療薬「ゾフルーザ」(後発品は無く先発品のみ)については、「きちんと入荷している。だが、同剤もその薬局の前年実績に対して卸から入荷するため、インフルエンザの流行具合に伴って不足してくる可能性もある」と指摘した。
羽尻昌功常務理事も、「B型インフルエンザは、ゾフルーザの方がシャープに効くため今後のユーズが増えるが、在庫少めの感がある」と述べ、「咳止めは相変わらず入って来ない。リン酸コデインも無い。トラネキサム酸も非常に少ない」と現在の医薬品流通状況を報告した。
羽尻氏は、大阪府薬が昨年11月25日~12月13日まで実施した「第3回医薬品の流通状況のアンケート調査」にも触れ、「3515薬局に通知して1581薬局(44.98%)から回答を得た」と紹介。
調査結果の概要として、「少しは良くなっているものの、まだ92%の薬局が後発品の供給不足で苦しんでいる。先発品も約8割の薬局において調剤に対する支障が出ている」と公表した。
その上で、「アンケート調査では、このように医薬品の安定供給がなされない中で、国が昨年10月1日から長期収載品の選定療養に踏み切ったことは果たして適正であったか。そのために患者への説明も5分以上要する」などの声がアンケート調査で多数出ていることも明らかにした。
長期収載品の選定療養は、先発品の長期収載品と薬価が最も高い後発品との差額の1/4を選定療養として保険適用外とし、患者に負担を求めるもの。後発品が安定供給されていないため、「薬局に後発品が無い場合は、選定療養の対象とならず、薬局の都合で患者の負担はゼロになる」ことが現在も大きな課題となっている。
羽尻氏は、後発品が薬局に全く入荷しないヒルロイドローション(保湿剤)を例に挙げ、「同剤はどの薬局でも選定療養の対象外として先発品を出すのが通常になっている。そのため、後発品の供給が安定した時に選定療養の負担を取る説明は行い辛い」と訴求した。