奈良県立医科大学は13日、同大学皮膚科学(教授:浅田秀夫氏)の研究成果を基に、血清TARC検査が重症薬疹の一つである薬剤性過敏症症候群(DIHS/DRESS)の診断補助バイオマーカーとして、本年12月1日付で保険適用されたと発表した。
浅田教授らの研究チームが血清TARC値がDIHS/DRESS急性期に顕著に上昇することを明らかにし、今回の保険適用に至ったもの。
これにより、これまで専門医でも難しかった発症早期の鑑別診断を迅速かつ客観的に行えるようになり、医療の質向上と患者負担の軽減に寄与する。
DIHS/DRESSは、高熱や多臓器障害を伴う重篤な薬疹で、死亡率が約10%に上る。この疾患では、早期診断と迅速な対応が、重症化を防ぎ、生命予後を改善する上で極めて重要となる。
だが、初期症状が他の薬疹やウイルス発疹症と類似しているため、専門医であっても迅速な診断が困難であった。そのため、早期に客観的な診断が可能なバイオマーカーの重要性が指摘されていた。
こうした中、奈良県立医科大学皮膚科学の研究チームは、血清TARC値がDIHS/DRESS急性期に顕著に上昇することを明らかにした。この知見を基に、先進医療A「血清TARC迅速測定法を用いた重症薬疹の早期診断」が実施され、その成果が認められて今回の保険適用に至った。
血清TARC検査の特徴は、次の通り。
・迅速性:血清中のTARC(Thymus and Activation-Regulated Chemokine)濃度を約17分で測定可能。
・高い信頼性:客観的な数値データに基づく診断が可能となり、精度と迅速性が向上
・実績:アトピー性皮膚炎や新型コロナウイルス感染症の診断補助としても実臨床で広く使用されている
同検査法の保険適用により、医療現場でDIHS/DRESSの早期診断に広く活用されることが期待される。これにより、適切な治療の早期開始が促進され、重症化リスクの低減や患者のQOL向上への寄が見込まれる。
奈良県立医科大学では、今後も医療の質向上と患者負担の軽減を目指し、先進的な研究や技術開発に取り組んでいく。