アルツハイマー病ワクチン投与対象者診断法の開発でアイ・ブレインサイエンスと協業契約締結 ファンペップ

ファンペップは16日、アイ・ブレインサイエンス(大阪府)とアルツハイマー病を対象疾患とする抗体誘導ペプチド(アルツハイマー病ワクチン)投与対象患者の簡便な診断法開発を目的とした協業契約を締結したと発表した。
 アイ・ブレインサイエンスは、アイトラッキング(視線計測)式認知機能評価法による医療機器の製品化を推進している。
 世界的な高齢化の進展に伴い、認知症の患者数は、世界で2019年5500万人から 2050年1億3900万人 へ、日本でも2012年462万人から2025年約700万人と増加することが見込まれている。
 また、要介護者において介護が必要となった主な原因の第一位が認知症(23.6%)であることから、認知症患者の増加はその介護に携わる家族等の負担増大にも影響を及ぼしている。
 認知症の中で患者数が多いアルツハイマー病の治療には、認知症の症状進行を抑制する対症療法の薬剤が使用されてきた。
 こうした中、疾患の原因に作用して疾患の進行を抑制する根本的治療法の薬剤が2023年に米国及び日本で薬事承認を取得し、現在、世界の数多くの製薬会社及びバイオベンチャー企業がアルツハイマー病患者の脳内に蓄積して神経細胞を障害する2つのタンパク質「アミロイドβ」「リン酸化タウ」を標的とする根本的治療薬の研究開発に取組んでいる。
 一方、根本的治療薬の投与対象患者は、認知症の極めて早期な段階、または軽度認知障害(MCI)段階が有効であり、これらの患者を幅広く、簡易に特定できる検査が必要とされている。
 アイ・ブレインサイエンスは、すでに認知症診断補助として汎用タブレットを用いた神経心理検査用プログラム「ミレボ」の薬事承認を2023年10月5日に取得しており、さらにMCI を対象とする認知機能評価システムの開発に取組んでいる。
 これは、MCI に特有の視線データと認知機能検査データを学習した機械学習モデルから、MCI 相当の認知機能低下を簡便に検出できるプログラムとして実用化が期待されている。
 ファンペップは、2023 年11月から「リン酸化タウ」を標的とするアルツハイマー病ワクチンの創薬研究を実施しており、両社は、今後、アルツハイマー病ワクチンの対象患者の簡便な診断法の開発を目指し、アイトラッキング診断技術の適用可能性の検討を進めていく。
 なお、同件によるファンペップグループの2024年12月期業績への影響はない。

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