第一三共は6日、ダトポタマブ デルクステカン(Dato-DXd/DS-1062、抗TROP2抗体薬物複合体[ADC])について、非小細胞肺がんを対象としたP2試験(TROPION-Lung05)、および非小細胞肺がんの二次/三次治療を対象としたP3試験(TROPION-Lung01)のプール解析で好結果を得たと発表した。
TROPION-Lung05試験の対象は、Actionable遺伝子変異を有する前治療歴のある局所進行または転移性の非小細胞肺がん。これらの試験結果は、欧州臨床腫瘍学会アジア大会(ESMO Asia 2024)で発表された。
有効性について、EGFR遺伝子変異を有する非小細胞肺がん患者117名(TROPION-Lung05 78名、TROPION-Lung01 39名)を対象としたプール解析において、客観的奏効率は42.7%(完全奏効 5名、部分奏効45名)、奏効期間の中央値は7.0ヵ月、病勢コントロール率は86.3%、無増悪生存期間の中央値は5.8ヵ月、全生存期間の中央値は15.6ヵ月であった。
また、117名のうち、オシメルチニブ(第三世代EGFRチロシンキナーゼ阻害剤)による前治療歴のある患者96名における結果は、全プール患者群と同様で、客観的奏効率は44.8%(完全奏効 4名、部分奏効39名)、奏効期間の中央値は6.9ヵ月、病勢コントロール率は85.4%、無増悪生存期間の中央値は5.7ヵ月、全生存期間の中央値は14.7ヵ月であった。
安全性については、新たな懸念は認めらなかった。グレード3以上の同剤と関連のある有害事象は、23%の患者に認められた。注目すべき有害事象(AESI)は、口内炎、眼表面事象、および本剤と関連のある間質性肺疾患(ILD)で、これらについて、グレード4または5の有害事象は認められなかった。
第一三共は、本年11月にEGFR遺伝子変異を有する、前治療歴(EGFR標的療法を含む)のある局所進行または転移性の非小細胞肺がん患者を対象とした同剤の承認申請を米国で行っている。これらの試験結果は、同承認申請をサポートするものと期待されている。 同社では、EGFR遺伝子変異を有する非小細胞肺がん患者に同剤を一日も早く提供できるように引き続きFDAとの協議を進めていく。