アンジェスは4日、カナダのバイオ医薬品企業 Vasomune社と共同開発しているTie2受容体アゴニスト新規肺炎治療薬「AV001」について、米国の独立データ安全性モニタリング委員会(IDSMB)から前期P2試験での最終コホート(最高用量)移行への推奨を受けたと発表した。IDSMBの最終コホートへの推奨は、これまでの成績を評価した結果、安全性に問題はないことが評価されたもの。
米国における臨床試験においては、臨床試験実施主体から独立した第三者機関であるIDSMBが臨床試験の安全な実施をモニタリングする仕組みがある。IDSMBは、臨床試験の実施過程において、必要に応じて安全性に関する評価を実施する。
AV-001は、トロントのサニーブルック病院のサニーブルック研究所で発見及び設計されたもので、アンジェス社との共同開発契約に基づいてVasomune社によって開発されている。同剤は、血管系内皮細胞表面で最も高発現している膜貫通タンパク質であるTie2受容体を標的とする新規治験薬である。Tie2-アンジオポエチンシグナル伝達軸を活性化し、複数の下流経路を刺激することで、内皮細胞の安定性を高め、正常なバリア防御を回復させ、血管漏出を阻止して血管系を正常化する。
血管機能障害は、細菌性及びウイルス性の急性呼吸窮迫症候群、敗血症、出血性ショック、急性腎障害、脳卒中、血管性痴呆などの患者の基礎疾患病態生理に寄与している。
複数の前臨床試験において、AV-001が内皮細胞間の結合を強化し、内皮細胞の生存を促進したことで、肺水腫が減少し、未治療の対照薬と比較して肺機能が改善し、生存率が有意に改善したことが同剤の大きな特徴となっている。
なお、今回の選定に伴い、2024年12月期の連結業績への影響はない。今後開示すべき事項が発生した場合には、速やかに告知する。
◆Shahid Ahmad Vasomune 社副社長のコメント
独立データ安全性モニタリング委員会(IDSMB)が肺炎入院患者を対象としたAV-001 の安全性、忍容性、有効性を評価する前期P2試験が最終段階へ進むことを推奨したことを嬉しく思う。肺炎が最も一般的な危険因子である急性呼吸窮迫症候群を発症している患者やその危険性のある患者の予後は、内皮の安定性を促進し、バリア防御を強化し、血管漏れを阻止する Tie2 シグナル伝達の回復によって改善されると確信している。
前期P2試験が最終段階に進むことは、AV-001の重要な開発マイルストーンであり、治験担当医とAnGes/Vasomune開発チームとの協業の成果であり、FDAが指定したファスト・トラックによる開発を前進させるものである。
Vasomune社は、米国国防総省のAV001-004試験の支援に感謝する。
◆山田英アンジェス社社長のコメント
IDSMBがAV001の前期P2試験の最終段階推進を推奨したことを心強く思う。我々は、この重要な臨床試験をやり遂げることで標準治療が確立していないARDSの治療に一歩前進できる。