日本メジフィジックス全株式をGEヘルスケアに売却 住友化学

 住友化学は2日、同社が保有する日本メジフィジックスの全株式50%を GEヘルスケアに売却すると発表した。日本メジフィジックスは、日本の放射性医薬品のリーディングカンパニー。
 同株式の売却は、住友化学とGEヘルスケアが日本メジフィジックスの将来の成長について真摯に議論を重ねた結果、ベストオーナーの視点から、さらなる成長をGEヘルスケアに託すことが最良と判断されたもの。住友化学の株式売却に伴い日本メジフィジックスは、GEヘルスケアの完全子会社となる。
 なお、同再編は、2025年初頭に完了する見込み。規制当局の承認が条件で、住友化学は2025年3月期第4四半期決算に株式売却益(約300億円)をその他の営業収益として計上する。
 今後、日本メジフィジックスは、GEヘルスケアグループとして、SPECT(単一光子放射断層撮影)製剤およびPET(陽電子放出断層撮影)製剤など、放射性医薬品の製造・研究開発を強化していく。
 日本メジフィジックスの製品ポートフォリオには、GEヘルスケアが開発した放射性医薬品である、アルツハイマー病関連での脳内アミロイドPET検査に使用される「ビザミル静注(一般名:フルテメタモル(18F)注射液)」、パーキンソン症候群やレビー小体型認知症の診断に使用される「ダットスキャン静注 (一般名:イオフルパン(123I)注射液)」、および心臓疾患の診断用 SPECT 製剤「マイオビュー(一般名:テトロホスミンテクネチウム (99mTc)」など、中枢神経、循環器、腫瘍の各分野で臨床画像を提供するための製品が含まれる。
 日本メジフィジックスは1973年に設立され、2023 年の売上収益は282億円(~$183M)。日本国内に13の製造施設を持ち、診断と治療を一体化した「セラノスティクス」を含む研究開発にも注力している。
 GEヘルスケアは2004年に英国アマシャム社を買収して以来、50%の株式を保有し、住友化学と共に経営に参画していた。 住友化学は、半世紀以上にわたり、我が国の放射性医薬品のリーディングカンパニーである日本メジフィジックスの事業を支援してきたが、さらなる成長をGEヘルスケアに託すことが最良と判断した。
 GEヘルスケアは、同買収を通して診断用医薬品部門を強化し、体内分子を撮影する技術「分子イメージング」の未来の発展の増強を目指す。
 

◆ビン・オニールGEヘルスケアの診断用医薬品部門社長兼 CEOのコメント
 日本は世界第3位の医薬品市場であり、(放射性医薬品の製造に利用される)サイクロトロンの保有数でも主要国の一つである。世界の分子イメージング市場が70億米ドルを超えるなか、日本はその成長をけん引する重要な役割を果たし、アジアにおける技術拠点としての地位の確立が期待されている。
 日本メジフィジックスは、この過程において重要な役割を担い、日本をはじめとするアジア市場への新製品および新技術の導入に際して、その深い専門知識と事業規模を活かし、支援を提供していく。
 GEヘルスケアは日本国内において、造影剤や PET、SPECTをはじめとする診断用医療機器を中心に事業を展開している。今回の買収により、既存の事業基盤を一層強化し、日本およびアジアにおける個別化医療の進展にさらに貢献できる。

◆上田博住友化学代表取締役副社長執行役員のコメント
 我々住友化学は、日本メジフィジックス、ならびに、パートナーのGEヘルスケアと共に、日本の患者さんに分子イメージングを提供してきたことを誇りに思う。
 日本メジフィジックスのリーダーシップと優秀なチームによるこれまでの大きな成果、そして、患者さんへの献身に心から感謝する。日本メジフィジックスは、ベストオーナーであるGEヘルスケアのもとで、引き続き成功を収め、さらなる成長を遂げることができると確信している。

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