ロートグループのエムジーファーマ(本社:大阪府茨木市)は、同社独自素材であるグロビン蛋白分解物「メタップ」について、臨床試験において新たに中性脂肪が高めの人、飲酒する人の肝臓保護効果があることを確認した。
健常域で肝機能マーカーがやや高めの男女を対象に、グロビン蛋白分解物を含有した食品またはグロビン蛋白分解物を含有していない食品のどちらかを8週間摂取してもらい、グロビン蛋白分解物が肝機能マーカーに及ぼす影響を評価したところ次の研究成果を得た。
①グロビン蛋白分解物は、中性脂肪が高めの健康成人男女において、やや高めの肝機能マーカー(ALT、AST)を低下させ、肝臓保護効果があることを発見した。
②グロビン蛋白分解物は、飲酒することのある健康成人男女において、やや高めの肝機能マーカー(ALT)を低下させ、肝臓保護効果があることを発見した。これらの研究成果は、「診療と新薬(2024年9月28日付)」に掲載された。
肝臓は人体で最も大きい臓器であり、体内の恒常性を保つために必要不可欠な働きを担っている。肝機能が低下すると、糖代謝、脂質代謝、蛋白合成能の低下を伴った栄養状態の悪化に加えて、解毒や排泄といった重要な生体機能にも影響が及ぶ。従って、正常な肝機能を維持することはヒトの健康維持・増進において極めて重要である。
ところが、肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、肝臓に負荷がかかっていても自覚症状がないことが多く、肝臓への負荷を放置した場合、深刻な肝疾患へと進行するリスクが高まる。
そのため、肝機能マーカーを基準範囲内に保ち、正常な肝機能を維持することが重要とされている。グロビン蛋白分解物はグロビン蛋白のプロテアーゼ分解物からなる機能性食品素材であり、食後の血清中性脂肪の上昇を抑える機能性表示食品や特定保健用食品としての販売実績がある。
さらに、ロート製薬とエムジーファーマは、肝障害に対するグロビン蛋白分解物の効果に着目して研究を進めてきた。先行研究の結果、グロビン蛋白分解物の摂取によって、肝臓の脂肪蓄積減少効果や ALT値の上昇抑制効果が認められていた。
今回、健常な成人男女を対象に、グロビン蛋白分解物を配合した食品を8週間摂取した場合の肝機能マーカーに及ぼす影響の確認を目的に臨床試験を実施した。
健常域でやや高めの肝機能マーカー(ALT)を持つ方を対象とし、グロビン蛋白分解物を含有した食品を摂取する群と、グロビン蛋白分解物を含有していない食品を摂取する群に分け、どちらかを8週間摂取した場合の、肝機能マーカーに及ぼす影響を評価した。
被験者背景に基づいた詳細な解析を行った結果、血中中性脂肪が高めの方において、グロビン蛋白分解物を含有した食品を摂取した群では、8週間摂取後のALT値およびAST値の低下が確認された。
また、試験期間中にアルコールを摂取した人(飲酒する方)において、グロビン蛋白分解物を含有した食品を摂取した群では、8週間摂取後のALT値の低下が確認された。
図1. 血中中性脂肪が正常高値またはやや高めの方を対象とした ALT の経時変化
図2. 血中中性脂肪が正常高値またはやや高めの方を対象とした AST の経時変化
図3. 試験期間中にアルコールを摂取した方を対象とした ALT の経時変化
<試験方法>
健常域でやや高めの肝機能マーカー(ALT)を持つ方 82 名を対象とし、プラセボを対照とした無作為化二重盲検並行群間比
較試験(ランダムに 2 グループに分け、片方のグループはグロビン蛋白分解物を含有した食品、もう片方のグループはグロビ
ン蛋白分解物を含有していない食品を 8 週間継続摂取)を実施した。評価項目は肝機能マーカー(ALT)を主要評価項目とし、
副次評価項目として、肝機能マーカー(AST、γ-GT)、疲労感、睡眠・心身状態、中性脂肪、総コレステロール、HDL-コレステ
ロール、LDL-コレステロール、グルコース(空腹時血糖)、HbA1c(NGSP)を設定した。
血中中性脂肪が正常高値またはやや高めの方々(プラセボ群:17 名、グロビン蛋白分解物群:11 名)を対象とした ALT および
AST の経時変化を図1、2に、試験期間中にアルコールを摂取した方々(プラセボ群:25 名、グロビン蛋白分解物群:20 名)を
対象とした ALT の経時変化を図3に示した。
(平均値、p<0.05、*p<0.01、t 検定: v.s.プラセボ)
これらの研究成果により、ロートグループの独自素材であるグロビン蛋白分解物「メタップ」が肝臓保護効果を示すことが臨床試験で明らかになった。正常な肝機能を維持し、肝機能の低下を予防・改善することは、生体機能の維持において重要な役割を持ち、ウェルビーイングの実現に向けた健康寿命の延伸という社会目標の達成の一助となるものと考えられる。
同社では、今後、臨床試験の結果を踏まえ、機能性食品の開発を進め、一日でも早く製品化できるよう尽力していく。