MSDは7日、21価肺炎球菌結合型ワクチン「CAPVAXIVE」について、P3試験(STRIDE-8試験)において肺炎球菌感染症の罹患リスクの高い成人において良好な免疫応答を示したと発表した。同試験結果は、米国カリフォルニア州ロサンゼルスで開催されたIDWeek2024で公表されたもの。
同試験では、肺炎球菌ワクチン未接種で、肺炎球菌感染症の罹患リスクが高まる一定の慢性疾患を有する18〜64歳の成人に対するCAPVAXIVEの免疫原性、安全性、忍容性を、PCV15(15価肺炎球菌結合型ワクチン)とPPSV23(23価肺炎球菌莢膜多糖体ワクチン)を併用した場合と比較して評価した。
その結果、CAPVAXIVEは、同剤に含有される全21種類の血清型(または株)に対する免疫原性を示した。免疫原性は接種後30日目の血清型特異的オプソニン化貪食活性(OPA)の幾何平均抗体価(GMT)(免疫原性の主要評価項目)および免疫グロブリンG(IgG)の幾何平均濃度(GMC)(免疫原性の副次評価項目)で評価した。
さらに、CAPVAXIVEの免疫応答を接種後30日目における血清型特異的OPA GMTおよびIgG GMCで評価したところ、PCV15接種後のPPSV23の追加接種と比較して、共通の13種類の血清型については同等で、CAPVAXIVEに固有の8種類の血清型については高くなった。
安全性では、接種部位や全身を含むワクチン関連の有害事象が認められた被験者の割合は、CAPVAXIVE+プラセボ群ではPCV15+PPSV23群より低い数値となった。
なお、IDWeek2024では、STRIDE-8試験に加え、米国の成人における肺炎球菌感染症の臨床的負担と経済的負担に関する対象を絞った文献レビュー結果も発表された。同結果では、黒人成人および教育と収入の水準が低い地方の成人で疾病負担がより高く、肺炎球菌ワクチンの接種率が低いと結論付けられている。
米国の成人において、CAPVAXIVEの導入による健康上の影響を評価するモデリング研究のデータも発表された。このモデリング研究では、小児用PCVワクチンを継続した場合、CAPVAXIVEを成人に接種することで、米国では10年後のIPDの罹患率が33.9%低下すると結論づけられている。
CAPVAXIVEの接種により、PCV20(20価肺炎球菌結合型ワクチン)と比較して10年後の症例数が約14,000例減少することになる。
◆ウォルター・オレンスタインMerck & Co., Inc., Rahway, NJ, USA科学諮問委員会委員(Emory University医学・疫学・グローバルヘルス・小児科学名誉教授、博士)のコメント
腎臓病や糖尿病などの慢性疾患を有する成人は特に侵襲性肺炎球菌感染症にかかりやすく、重症化のリスクが高くなる可能性がある。。今回のデータでは、多くの血清型に対応するCAPVAXIVEが、侵襲性肺炎球菌感染症にかかりやすい成人における予防手段となりうることがさらに示された。