英AviadoBioと前頭側頭型認知症など適応症対象遺伝子治療プログラムの独占的ライセンス契約締結 アステラス製薬

 アステラス製薬は8日、AviadoBio(本社:英国)と、遺伝子治療プログラムAVB-101の独占的ライセンスを得るオプション契約を締結したと発表した。AVB-101は、プログラニュリン遺伝子変異を伴う前頭側頭型認知症(FTD-GRN)の患者を対象とした1/2試験を実施中の、アデノ随伴ウイルスベクター(AAV)を利用した遺伝子治療プログラムである。
 前頭側頭型認知症(FTD)は、診断から3年から13年で死亡に至る重篤な若年性認知症で、一般的に、FTD患者は実行機能(注意力、記憶力、問題解決能力など)の急速な低下、行動異常、言語能力の喪失、無関心、運動機能低下を示すことが知られている。FTDは、65歳未満の認知症の主な原因であり、十分に認知されておらず、誤診されることも少なくない。
 同契約に基づき、アステラス製薬は、全世界におけるAVB-101のFTD-GRNおよびその他の適応症を対象とする開発・商業化に関する独占的なライセンスを得るオプション権を有する。アステラス製薬はAviadoBioに株式購入対価として2000万ドル(約30億円)と、最大3000万ドル(約45億円)の一時金を支払う。
 アステラス製薬がオプション権を行使した場合、オプション行使に伴う支払い、プログラムの進捗および売上高に応じたマイルストンとして最大21.8億米ドル、さらにロイヤルティをAviadoBioに支払う可能性がある。
 なお、同件によるアステラス製薬の通期(2025年3月期)連結業績への影響は軽微である。

◆Adam Pearsonアステラス製薬の経営戦略担当CStO(Chief Strategy Officer)のコメント
 アステラス製薬は、研究開発戦略であるFocus Areaアプローチの中で、特に注力しているPrimary Focusの一つに「遺伝子治療」を掲げている。我々は、AviadoBioとの提携を通じて、遺伝子治療パイプラインを拡充し、衰弱性の神経変性疾患に苦しむより多くの患者さんを支援できることをうれしく思う。
 AVB-101はFTD-GRN治療における革新的な遺伝子治療プログラムであり、今回の契約締結により、AVB-101を次世代の遺伝子治療薬として、患者さんに届けられることを期待している。

◆Lisa Deschamps AviadoBio CEOのコメント AVB-101の第1/2相ASPIRE-FTD試験の最初の患者群への投与が完了したこのタイミングで、本契約を締結し、FTD-GRNを対象とした我々の有望な遺伝子治療プログラムと、アステラスのグローバルにおける遺伝子治療の開発・商業化に関する専門性が相乗効果を発揮し、アンメットメディカルニーズの高いFTD-GRNの治療薬を開発できる可能性が生まれたことをうれしく思う。FTD-GRNやその他の神経変性疾患に苦しむ世界中の患者さんに、新たな治療選択肢を一日でも早く届けられるよう、一丸となって取り組む。

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