小野薬品は10日、オプジーボとプラチナ製剤を含む化学療法2剤の併用療法による術前補助療法とそれに続く術後のオプジーボ単剤療法による術後補助療法について、米国FDAが切除可能な非小細胞肺がんの治療法として承認したと発表した。提携するブリストル マイヤーズ スクイブ(BMS)が3日に公表したもの。
対象は、切除可能(腫瘍径≧4cmまたはリンパ節転移陽性)な非小細胞肺がん(NSCLC)を有し、上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異陰性または未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)融合遺伝子の再構成を伴わない成人患者。
同承認は、切除可能なNSCLC治療において、免疫療法薬を含む併用療法によるBMSの2つ目の肯定的な無作為化P3試験であるCheckMate-77T試験の結果に基づいている。現在、この疾患において、オプジーボは、化学療法と比較して術前補助療法レジメンおよび周術期療法レジメンの両方で、統計学的に有意かつ臨床的に意義のあるベネフィットを示した唯一のPD-1阻害薬である。
CheckMate-77T試験では、切除可能なNSCLCの成人患者を対象に、オプジーボとプラチナ製剤を含む化学療法2剤の併用療法による術前補助療法と、それに続く術後のオプジーボ単剤療法による術後補助療法の周術期療法レジメン(n=229)を、プラチナ製剤を含む化学療法2剤とプラセボの併用療法による術前補助療法と、それに続く術後のプラセボによる術後補助療法(n=232)と比較評価した。
同試験において、オプジーボ群は、化学療法とプラセボの併用療法群と比較して、主要評価項目であるEFSで改善を示した。また、事前に規定された副次評価項目の1つであるpCRでも高いpCR率が認められた。
同試験の中央値25.4カ月の追跡調査で、オプジーボ群は、化学療法とプラセボの併用療法群と比較して、再発、病勢進行または死亡のリスクを42%低減した(EFS ハザード比 [HR] 0.58;95% 信頼区間 [CI]:0.43 – 0.78;p=0.00025)2。
また、18カ月EFS率は、オプジーボ群で70%、化学療法とプラセボの併用療法群では50%であった。さらに、Intent-To-Treat(ITT)集団でのpCR率は、オプジーボ群で25%、対照群では4.7%であった(推定治療差20.5%; 95% CI:14.3 – 26.6)。
オプジーボの「警告および注意」には、次の事象が含まれています:重度かつ致死的な免疫介在性副作用(肺臓炎、大腸炎、肝炎および肝毒性、内分泌障害、皮膚関連副作用、腎炎および腎機能障害を含む)、infusion reaction、同種造血幹細胞移植(HSCT)の合併症および胎児毒性。
多発性骨髄腫患者におけるサリドマイド類似体とデキサメタゾンの併用療法へのPD-1またはPD-L1阻害抗体の追加投与は、比較臨床試験以外では推奨されない。
同適応症におけるオプジーボの推奨用量は、オプジーボ360mgをプラチナ製剤を含む化学療法2剤と同日に3週間間隔で最大4サイクルまで、病勢進行または忍容できない毒性が認められるまで投与し、術後にオプジーボ480 mgの単剤療法を4週間間隔で最大13サイクル(約1年間)、病勢進行または忍容できない毒性が認められるまで投与を継続する。 FDAは、これまでに切除可能(腫瘍径≧4cmまたはリンパ節転移陽性)なNSCLCの成人患者の術前補助療法として、オプジーボとプラチナ製剤を含む化学療法2剤の併用療法を承認している。
なお、現在までに、オプジーボ単剤療法とオプジーボを含む併用療法は、肺がん、悪性黒色種、膀胱がんおよび食道/胃食道接合部がんの4つのがん腫に対して術前補助療法、術後補助療法または周術期療法としてFDAから承認を受けている。
◆Wendy Short Bartie BMS米国がん・血液疾患領域シニアバイスプレジデントのコメント
今回のマイルストーンは、オプジーボを含む治療法が果たす役割を拡大するもので、CheckMate-816試験に基づく切除可能なNSCLCにおけるオプジーボと化学療法の併用療法による術前補助療法のFDA承認によって構築された基盤をさらに強固にするものである。
オプジーボを含むこの新たなレジメンによって、患者さんのアウトカム改善に向けた取り組みをさらに強化し、早期ステージの胸部がんにおけるポートフォリオを一層充実させていく。
◆Tina Cascone米国テキサス大学MDアンダーソンがんセンター 胸部/頭頸部腫瘍内科の准教授(M.D.、Ph.D.)のコメント
切除可能なNSCLC患者さんの再発率を考えれば、腫瘍の微小転移を標的として手術前後に投与して、がんの再発リスクを低減し、外科的治療の成功率を高めることができる治療選択肢は明らかに必要とされている。
オプジーボの周術期補助療法と化学療法の術前補助療法のレジメンが、化学療法単独の術前補助療法と比較して、無イベント生存率(EFS)の改善をもたらすことができ、患者さん4人のうち1人において病理学的完全奏効(pCR)を達成できる可能性があり、今回の承認は、切除可能な患者さんにとって前進である。