抗体薬物複合体DS-9606 固形がん対象P1試験データを欧州臨床腫瘍学会で発表 第一三共

 第一三共は17日、DS-9606(CLDN6を標的とした抗体薬物複合体〔ADC〕)について、進行性固形がんを対象としたP1試験の用量漸増パートにおけるデータを、欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2024)において初めて公表したと発表した。
 同剤は、抗CLDN6抗体と改変されたピロロベンゾジアゼピン(PBD)で構成され、第一三共の二つ目のADC技術プラットフォームから創製された最初のADCである。CLDN6は、複数のがんにおいて発現し予後不良と関係しているため、がん治療の有望な標的であると言われている。
 同試験は、CLDN6発現の進行性固形がん患者を対象に、本剤の安全性と忍容性および予備的有効性を評価するP1試験である。用量漸増パートでは、前治療歴のある固形がん患者(卵巣がん、胚細胞がん、胃/食道がん、非小細胞肺がん、膵臓がん、乳がん、子宮内膜がん)53名において、同剤の投与量を段階的に増やしながら安全性と忍容性を評価し、最大耐用量と用量展開パートにおける推奨用量を決定する。
 安全性について、同剤の投与量0.016mg/kgから0.225mg/kgにおいて、用量制限毒性は認められなかた。有害事象の内訳は、皮膚関連が17%と最も多く報告されたが、その大部分がグレード1であった。グレード3以上の有害事象は30.2%の患者に認められ、貧血(3.8%)、腹痛(3.8%)、胸水貯留(3.8%)等がみられた。
 予備的有効性については、客観的奏効は4名(胚細胞がん2名、胃/食道がん1名、非小細胞肺がん1名)に認められた。評価可能な胚細胞がん患者7名のうち、客観的奏効が確認された2名は6ヵ月以上治療を継続し、5名は腫瘍マーカーが90%以上減少した。 
 第一三共は、用量展開パートにおける推奨用量を決定するために患者登録を継続し、今後、同剤の効果が期待できるがん種を特定していく。

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