ダトポタマブ デルクステカン 非小細胞肺がん二次/三次治療P3試験未達 第一三共

 第一三共は10日、 ダトポタマブ デルクステカン(Dato-DXd/DS-1062、抗TROP2抗体薬物複合体[ADC])について、非小細胞肺がん二次/三次治療を対象としたP3試験(TROPION-Lung01)おいて統計学的に有意な改善は認められなかったと発表した。
 同剤の術前・術後薬物療法を対象としたP2試験(NeoCOAST-2)では、好結果を示した。これらのデータは、世界肺がん学会(WCLC 2024)で公表された。
 ROPION-Lung01では、有効性は、Actionable遺伝子変異の有無を問わず、前治療歴のある進行または転移性非小細胞肺がん患者(604名)において、主要評価項目の一つである全生存期間の中央値は、同剤投与群12.9ヵ月、ドセタキセル投与群11.8ヵ月で、同剤投与群はドセタキセル投与群に対し改善傾向が認められたものの、統計学的に有意な改善は認められなかった。
 一方で、事前に規定したサブグループ解析では、非扁平上皮非小細胞肺がん患者(468名)における全生存期間の中央値は、同剤投与群14.6ヵ月、ドセタキセル投与群12.3ヵ月で、同剤投与群はドセタキセル投与群に対し2.3ヵ月の改善を示した。
 なお、同試験においては、もう一つの主要評価項目である無増悪生存期間を既に達成している。
 2023年10月開催の欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2023)で発表した通り、全患者集団において、同剤投与群はドセタキセル投与群に対し統計学的に有意な改善を示し、また非扁平上皮非小細胞肺がん患者集団を対象としたサブグループ解析において臨床的に意義のある改善を示した。
 安全性について、新たな懸念は認められなかったた。グレード3以上の薬剤に関連した有害事象は、同剤投与群で26%、ドセタキセル投与群で42%の患者に認められた。同剤と関連のある間質性肺疾患(ILD) について、中間解析以降に新たな報告例はなかった。
 NeoCOAST-2は、切除可能な早期(ステージIIA~IIIB)の非小細胞肺がん患者へのデュルバルマブ(免疫チェックポイント阻害剤)をベースとした術前・術後薬物療法の有効性と安全性を評価するP2試験である。
 予備的有効性について、術前薬物療法における同剤とデュルバルマブおよびプラチナ製剤との3剤併用投与群では、主要評価項目である病理学的完全奏効が34.1%で、重要な副次評価項目である病理学的著効は65.9%であった。
 安全性について、同併用投与群において新たな懸念は認められず、また、グレード3以上の薬剤に関連した有害事象は18.5%の患者に認められた。
 第一三共は、非小細胞肺がん治療に新たな選択肢を提供できるよう、これらの試験を含む現在進行中の臨床試験等を通じて、同剤の単剤療法および併用療法の開発を加速させていく。
 

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