ロッシュとPIK3CA遺伝子変異乳がんに対するinavolisibの導入契約締結 中外製薬

 中外製薬は7月31日、ロシュとPIK3CA遺伝子変異を有するホルモン受容体(HR)陽性、HER2陰性の進行性乳がんに対し開発中のPI3Kα阻害剤inavolisibについて導入契約を締結したと発表した。
 同契約の締結により、中外製薬はinavolisibの日本における独占的開発権および販売権の許諾を受け、その対価として契約一時金およびマイルストンをロシュ社に支払う。
 inavolisibは、ロシュ・グループのメンバーであるジェネンテック社が創製し、現在、PIK3CA遺伝子変異を有する局所進行性または転移性乳がんのうち、HR陽性/HER2陰性の患者を対象に二つ(INAVO120、INAVO121)、HER2陽性の患者を対象に一つ(INAVO122)の海外P3試験が進行中である。
 INAVO120試験では、一次治療としてinavolisibをベースとしたレジメン(パルボシクリブ・フルベストラントとの併用)は、パルボシクリブ・フルベストラントのみに比べ主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を2倍以上に延長し、病状の悪化または死亡リスクが57%減少することが示された(15.0カ月対7.3カ月、ハザード比=0.43、95%信頼区間:0.32-0.59、p<0.0001)。
 また、忍容性は良好で安全性プロファイルは管理可能であることが確認されている。
 同試験の良好な結果に基づき、PIK3CA遺伝子変異を伴うHR陽性、HER2陰性の局所進行または転移性乳がんの一次治療に対し、inavolisibは米国FDAより画期的治療薬(Breakthrough Therapy)の指定を受けるとともに、本年11月27日をPDUFA(処方薬ユーザーフィー法)の審査期限として優先審査に指定されている。

◆奥田修中外製薬代表取締役社長 CEOのコメント
 PIK3CA変異は、HR陽性の乳がん患者さんの約40%1で見られる。PIK3CA遺伝子変異、HR陽性、HER2陰性の進行性乳がん患者さんの予後は悪く、アンメットメディカルニーズが存在している。
 海外の臨床試験で良好な結果を示しているinavolisibは、乳がん患者さんへの新たな治療選択肢となることが期待されます。inavolisibを日本の患者さんに早期にお届けするため、ロシュ社と緊密に連携し国内開発を進めていく。

タイトルとURLをコピーしました