住友ファーマの木村徹社長は7月31日、2024年度1Q決算説明会で会見し、売上収益の柱となる米国の基幹製品オルゴビクス(進行性前立腺がん治療剤)、マイフェンブリー(子宮筋腫・子宮内膜症治療剤)、ジェムテサ(過活動膀胱治療剤)の滑り出しについて説明。「基幹3製品の売上収益合計は、2024年度1Q時点で計画に対して強含みに進捗した」と報告した。
また、各セグメントの販管費・研究開発費も、2024年度1Q時点で計画通りに進捗していることも明らかにした。
2024年度1Q実績は、売上収益907億円(対前年同期比19.8%増)、コア営業利益△9億円(同326億円改善)、営業利益△31億円(同485億円改善)、親会社の所有者に帰属する四半期(当期)利益159億円(同548億円増)となった。
北米の主要製品売上収益は、オルゴビクス168億円(前年同期売上収益93億円)、マイフェンブリー30億円(同18億円)、ジェムテサ121億円(同87億円)、アプティオム102億円(同79億円、抗てんかん剤)。 オルゴビクスは計画達成率125%と伸長した。数量ではメディケアパートDの薬剤給付制度変更の影響により計画を上回る伸長を示し、価格は返品およびCoverage Gapの負担が予想より少なかったため計画を上回った。
マイフェンブリーの計画達成率は88%。数量はGnRH阻害剤市場の拡大および子宮内膜症におけるシェア拡大が計画を下回ったため未達となり、価格は、Co-payカードの費用が計画を下回ったため、良好であった。
ジェムテサは計画達成率98%で、数量は概ね計画通りであったが、薬局以外のチャネルでやや計画を下回った。価格は、返品およびCoverage Gapの負担が予想より少なかったため良好であった。
コスト削減では、グループをあげて効率的な組織運営および徹底的なコスト削減による合理化を加速。北米では2023年度に構造改革(人員削減)を実施した。
国内は、事業再建のための構造改革の⼀環として、約700人の早期退職者を募集している。募集対象は、生産部門と再生・細胞医薬事業を除く社員で、募集規模は、国内社員数の1/4弱程度に相当する。
木村社長は、「コスト削減は、北米と日本に分けて考える必要がある」とした上で、「北米は、昨年2回のリストラを実行し、従業員数は2200名から1200名に削減した。個々の負担がある中で2024年度1Qの結果を出している。幸い製品そのものが好調なため、今後もこの好結果を継続していくことが北米マネージメントの課題である」と指摘した。
一方、国内は、「製品構成が非常に厳しくなっている。日本セグメントとして赤字にならないように希望退職者を募集した。700名は非常に大きな規模なので、組織をしっかりと再構築して新しい目標を持って進めて行く」考えを強調した。
研究開発では、抗がん剤のenzomenib(DSP-5336)が、本年6月、MLL遺伝子の再構成またはNPM1遺伝子の変異を有する再発または難治性の急性⾻髄性白血病の適応で米国FDAよりファストトラック指定を受領した。
池田善治常務執行役員は、「ファストトラック指定により、当局との今後のP2試験、その先の治験の相談がし易くなった。申請資料もパッケージではなく個別に出せるので今後の開発を進めて行く上でメリットがある」と説明。
さらに、「同じ作用機序のシンダク社の薬剤もファーストトラックに指定されている。こうした状況の中でDSP-5336も指定されたため、一日も早い承認を貰えるチャンスを得たと受け止めており、開発に尽力していきたい」と訴求した。