2024年上半期は主要なマイルストーン達成で7.4%増収、開発パイプラインも順調に進捗 ベーリンガーインゲルハイム

 ベーリンガーインゲルハイムは、2024年上半期の主要なマイルストーンを達成して同期売上高が対前年同期比 7.4%増の大幅な増収となり、開発パイプラインも順調に進展したと発表した。
 心腎代謝疾患とオンコロジー領域でマイルストーンを達成し、 開発パイプラインは2024年中にオンコロジー、メンタルヘルス、肺線維症領域において臨床試験結果の解析が進む見込みにある。
 同社では、心腎代謝疾患やメンタルヘルス、オンコロジー領域で、新たに 5 件のP1、P2、P3相臨床試験を開始するなどパイプラインを進展させ、炎症性疾患のプログラムでは2つのファストトラック指定を取得した。
 同時に、さまざまな治療領域や技術プラットフォームを通じて医療用医薬品のポートフォリオを大幅に強化するため、9件の研究開発に関わるパートナーシップを締結した。
2024 年上半期の売上高は、医療用医薬品事業のジャディアンスファミリーおよびオフェブ、アニマルヘルス事業のネクスガードなどの医薬品への継続的な高い需要に牽引され、129億ユーロ(前年同期比 7.4%増)となった。
 医療用医薬品事業では、将来のポートフォリオの構築や今後の上市に向けた活動が、同上半期においてすべての重点治療領域で進展した。年内には、オンコロジー領域(ゾンゲルチニブ)、メンタルヘルス領域(イクレペルチン)、肺線維症領域(nerandomilast)などのポートフォリオ全体にで新たな臨床試験データの発表が期待される。
 さらに、心腎代謝疾患おいて複数の主要なマイルストーンを達成した。survodutide は、MASH による肝疾患を対象としたP2床試験で画期的な結果を示した。同試験では、survodutideの投与を受けた成人患者の83%が有意な改善を認めたのに対し、プラセボ群では18.2%であった(改善率の差:64.8%、CI 51.1%-78.6%, p<0.0001)。
 また、サブ解析の結果、survodutideの投与を受けた線維化ステージF2および~F3(中等度から重度)の成人患者の64.5%(対プラセボ群:25.9%)が、MASH の悪化を伴うことなく線維化の改善を達成した[改善率の差:38.6% (95% CI 18.1% – 59.1%), p=0.0005]
 さらに、新規選択的アルドステロン合成酵素阻害剤(ASi)とエンパグリフロジンの併用による慢性心不全を対象としたP3試験を開始した。ASiの慢性腎臓病を対象としたP3試験では、Oxford Population Health と共同研究を行う。
 ベーリンガーインゲルハイムは、米国心臓協会の心腎代謝ヘルスイニシアチブ(Cardiovascular-Kidney-Metabolic Health Initiative)の複数年にわたるスポンサーシップに参加した。最近発表されたこのイニシアチブを通じて、相互に関連する疾患に罹患する人々の負担を理解し、よりよい治療を可能にすることを目指す。
 同社は、オンコロジー領域へ再参入を目指し、集中的な投資を行っている。HER2 特異的チロシンキナーゼ阻害剤であるゾンゲルチニブ は、HER2異常を有する固形腫瘍患者を対象としたP1a/1b試験において、忍容性は高く、有効性が期待されることが示された。
 ブリギマドリンは、脱分化型脂肪肉腫を対象としたBrightline-1試験において、ベネフィット・リスク評価は肯定的であったものの、主要評価項目を達成することができなかった。これらの臨床試験結果は、今年の後半に行われる学会で発表される予定である。
 2024年上半期において、医療用医薬品事業は対前年比 9.3%の増収を達成した。売上高は 103 億ユーロで、主にジャディアンスファミリーとオフェブが成長を牽引した。
 製品の需要拡大に対応するため、生産・供給ネットワークへの多額の投資を継続し、1月にギリシャのコロピにある工場のさらなる拡張とアップグレードを発表した。また、1億2000 万ユーロを投資し、開発後期段階のポートフォリオを含む新たな医薬品、および既存の医薬品の製造能力を増強する。
 アニマルヘルス事業では、ライブストック(産業動物)分野では、養鶏用ワクチンのバキシテックのポートフォリオが引き続き拡大し、15.9%の増収を達成した。また、牛と羊におけるブルータングウイルス血清型3(BTV-3)ワクチン「BULTAVO3TM」を新たに発売した。
 これは、臨床症状や死亡率を低下させる初のBTV-3 ワクチンで、オランダ、ベルギー、ドイツで緊急使用を目的として認可されている。これら3カ国における最近のBTV-3の流行は、農家に深刻な損失をもたらし、近隣諸国をも脅やかしている。
 アニマルヘルス事業の上半期の売上高は25億ユーロ(前年同期比 0.9% 増)で、予想よりも緩やかな伸びとなった。これは主に、米国におけるペット事業の売上が予想を下回ったことや、中国の市場環境が厳しく、特に豚ワクチン事業が影響を受けたことによるもの。その他のほとんどの市場では、堅調な成長を達成した。
 寄生虫駆除薬のネクスガードブランドの売上は、2023年に上市された犬用ラインナップの NEXGARD PLUS と猫用ラインナップの NEXGARD COMBO により15.9%増加した。
 FRONTPROは、犬のマダニおよびノミの駆除ができるチュアブル錠のOTC医薬品として初めて承認されたもので、現在、欧州のほとんどの国で販売されており、成長を牽引している。 ペット用治療薬では、僧帽弁閉鎖不全症を適応症とするベトメディンの売上が16.1%増加した。

 パイプラインの見通しについては、今後、医療用医薬品では 2030年までに最大で25の新たな治療薬の上市を目指している。
 アニマルヘルス事業では、2026年までに製品リニューアルや適応拡大、新製品を含む20の新たな製品の上市を見込んでいる。

◆フベルトゥス・フォン・バウムバッハ ベーリンガーインゲルハイム取締役会会長のコメント
 我々は、4月に発表した計画を上回るレベルで研究開発への投資を強化している。metabolic dysfunction-associated steatohepatitis(MASH)を対象とした臨床試験の結果や、今後、オンコロジーやメンタルヘルス、肺線維症領域の臨床試験において見込まれるデータにより後期開発段階のアセットの上市準備を加速さる。当社のパイプラインが順調に進展していることを喜ばしく思う。

◆フランク・ヒューブラー財務担当取締役のコメント
 当社のパイプラインは、領域を拡大し進展し続けているため、明確に焦点を定めてリソースを配分する必要がある。我々は、革新的な医薬品をより早く患者さんにお届けするために、可能な限りパイプラインの進展を加速させたいと考えている。

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