アキュリスファーマは22日、ヒスタミンH3受容体拮抗薬/逆作動薬「pitolisant」について、ナルコレプシー患者を対象とした国内P3試験の被験者組み入れが終了したと発表した。
Pitolisant は、人間の睡眠・覚醒リズムの制御において重要な役割を担っているヒスタミン含有ニューロンのシナプス前部に分布する自己受容体、ヒスタミン H3 受容体へ選択的に結合する拮抗薬/逆作動薬である。
Bioprojet(フランス、パリ市)により創薬された同剤は、欧州で 2016年に「カタプレキシー(情動脱力発作)を伴う、又は伴わないナルコレプシー」を効能・効果として承認された。2021年には「閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)患者における覚醒状態の改善及び日中の過度の眠気の減少」の適応追加承認を欧州医薬品庁(EMA)より取得している。
米国では、FDAより 2019 年に「ナルコレプシーに伴う日中の過度の眠気」を効能・効果に承認取得。2020年には「ナルコレプシーに伴うカタプレキシー」を適応追加承認を取得しており、既に臨床現場で使用されている。
2023 年末時点でナルコレプシーについては欧州・米国含め 38 か国、OSASについては欧州 30か国で承認を得ている。
ナルコレプシーの発症時期は小児期、青年期および若年青年期に集中しているとされているが、誤診されやすく、症状の認知度が低いために確定診断が遅れていることが世界的に課題となっている。
ナルコレプシーの原因や病態については未だ解明されていない点も多くある。通常、オレキシンやヒスタミンなどの脳内の神経伝達物質が日中の覚醒と夜間の睡眠(レム睡眠・ノンレム睡眠)が規則的に繰り返されるよう調節する役割を担っているが、ナルコレプシー患者においてはこれらが不規則に出現する。
この不規則な睡眠・覚醒サイクルのため、学校や職場で本人の意思に反して眠り込んだり、集中力を維持することに苦慮するなどの症状がみられる。
また、強い感情の動きをきっかけとして全身あるいは体の一部の随意筋のまひが生じる情動脱力発作(カタプレキシー)、入眠時の幻覚体験(入眠時幻覚)や金縛り(睡眠麻痺)を伴う場合もある。
これらの症状の種類や程度は患者ごとに異なるが、学業や就業における困難など、患者の日常生活に深刻な影響をもたらす場合がある。
◆谷垣任優アキュリスファーマ代表取締役社長のコメント
ナルコレプシー患者を対象とした国内P3試験の被験者組み入れが終了し、マイルストーンを共有できることを嬉しく思う。引き続き、承認申請の準備を進めていく。我々は、ナルコレプシーを抱える患者さんやそのご家族が、より安心して自分らしく生活できる社会を実現するために、本剤を日本の患者さんへ一日も早く届けることを目指し、事業を推進していきたい。